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好きの境界線(柚火)

 2008-01-06
知らなかったんだ。親友だと思ってて、――思いこんでて、俺は柚木の気持ちなんてわかろうとしてなかった。

柚木の告白にただただびっくりして、柚木もこんな風に怒るんだとか考えてて、俺、自分の感想が勝手に飛び出して来ちゃって。

「なに言ってるの、柚木。…俺達男同士だよ…?」

そんなこと考えたこともなくて、世界にはそんな人たちもいるって聞いたこともあったけど、そんなこと言われたのなんか初めてで、信じられなくて、――冗談かなって思っちゃってそう言った。
あ、俺そういえば初めて告白されたんだ。

なのに俺…

柚木を傷つけた。

俺の言ったことのせいで、俺が柚木の気持ち信じてちゃんと受け止められなかったせいで、柚木はすっごい痛そうな顔をした。

ごめんね、柚木。
ごめん
ごめん

そんな風に傷つけたかったんじゃない。

せっかく柚木が正直に気持ちを打ち明けてくれたのに…

走って屋上のほうに行ってしまった柚木の足音を聞きながら、俺は胸がキリキリきゅうきゅう痛かった。

友達だと思ってた。でも柚木は違ったんだ。

俺を見てた柚木の瞳は、俺が思っていたよりもずっと俺を好きだったってことだよね?

俺はやっぱり柚木がすっごく好きだよ。でもそれは柚木の言う好きと同じなのか、違うのかわからない。

柚木と友達でいられなくなっちゃうのかな。それはもうそばで今まで通り笑っていられなくなっちゃうってことだよね。

それは嫌だな。

柚木の言う恋人ならそばにいられるかな、…でも、いい加減な気持ちだったらまた柚木を傷つけるよね…。

俺の柚木への好きは…

なんなんだろう。

好きってどこから恋なんだろう。

わかんないや…。


頭を抱えて廊下にしゃがんでいたら、聞いたことある声が降ってきた。

見上げれば、後輩の土浦だった。いつもよりでっかく見えるのは今の俺が涙でボロボロだから?

「つちうら〜ぁ…」
「ちょっ、先輩?!どうしたんすか…!?」

年下のくせに俺よりがっちりした土浦に抱きついて泣きじゃくった。

「ねえ、好きってどこから好きなの?俺もうよくわかんない…。でも離れて行かれるのは嫌だ…友達じゃ駄目なのかなぁ…」

そう言ったら土浦は子供を慰めるみたいに、俺の頭を撫でて、背中を軽く叩いてくれた。
「先輩がどうしても友達がいいって言うならそれでもいいですが、相手は…辛いでしょうね…。」
「辛い…思い…。嫌だ。させたくない。」

俺がぐすっと鼻を鳴らすと、土浦が笑った気がした。

「なに笑ってんだよ…」
むくれてみせた。だって本気で困ってるのに。

「すいません、先輩…。だって話聞いてたら、付き合っても良さそうなくらい先輩、相手のこと好きじゃありませんか…?」

「え…?でも俺、今まで友達としか思ってなくて、今も好きなのかわからないし、…いい加減な気持ちで付き合ったら…悪いし…」

だんだん下を向く俺に土浦は明るく言った。

「とりあえず付き合ってみたらいいじゃないですか。そのうちちゃんと好きになるかもしれないし、…先輩は離れたくないんでしょ?」

「うん…」

俺は土浦の胸におでこをつけて、自分の心に向き合ってみる。

「…なら、決まりですね。」

「…好きも…、そのうち形が変わるかもしれないよね…。うん、俺柚木のとこ行ってくる!」

にっこりと笑うと、俺はありがと土浦!と最後に土浦にぎゅっと抱きついて、柚木のいる屋上に一目散に走ったんだ。

ありがとう土浦。俺、何かが吹切れた。



「………火原先輩の相手って…、柚木先輩…!!?」

「…土浦。何故君は火原先輩と抱き合っていたんだ…」

「月森?!…ちょっ、まっ、誤解だっ!」

「知らない!!」

俺のせいで、土浦が月森くんに沢山の本を投げつけられることになったなんて…俺は知らなかっんだけどね。


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