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con affetto (コン アフェット/愛を込めて、優しく)
2007-12-10
めずらしく加地視点の土月。加地くんはやっぱり貧乏くじ(笑)
加地から見てもやっぱり甘々な土月です。
恋人達の愛の歌は
いつだって甘く優しい。
例えばほら、僕の横で笑っている土浦。
話のところどころに愛しい人の名が顔を出す。
僕がそのことを突付いてみれば、
土浦は照れくさそうに誤魔化して。
だけどしつこく聞いてみると、
観念したように、彼への愛を語りだした。
『いじっぱりなんだけどさ、やっぱそういうとこが可愛いんだよな。』
『ふ〜ん。冷たい感じも好きなの?』
『・・・お前があいつをどう思ってるのか知らないが、そこまで冷たいヤツでもないぞ。色々と気がつくし、ずっと一つのことだけに一生懸命だし。』
『あはは、のろけ?俺以外は見てないって?』
『いや・・・そうでもないだろ。ヴァイオリンは強敵だぞ。』
昼休み、エントランスで僕と土浦が恋話に花を咲かせていれば、
後ろから突き刺さるような視線を感じた。
うわぁ、僕と土浦が談笑してるからって、
そんなところから殺気飛ばさなくても・・・・
別に君の愛しい人を、取ったりする気は無いって。
けれど何メートルか離れた背中の視線には
そんなこと伝わらないだろうけどね。
『そういや、お前・・・いるって言ってたよな。その後どうなった?』
『あはは・・・聞くんだ。・・・今は君たちの話でしょ?』
『誤魔化すなよ。・・・・どうなんだ、アタックするって言ってたろ?』
『う〜ん・・・・どうなのかな・・・・。大人だからねぇ。まずまずってとこかな。』
『・・・・・・・・・大人?あいつ結構単純な思考してると思うが。』
『ちょっと待って、誰のこと言ってるの土浦?』
話が噛み合わなくて慌てる。
待って、待って。それきっと、違う尊敬してる人。
僕は思わず土浦の二の腕を両手で掴んで近づいた。
その瞬間。
『何をしているんだ、君たちは。』
背後から何だか凄まじい冷気が感じられて僕は固まった。
うわぁ、ちょっと待って。こんなタイミングで来なくても。
『そんなに近づいて、何をしようとしているんだと聞いている。』
え?・・・・・
明らかに怒りを表す背後の声。
その声が震えないように押さえるのが精一杯ということが解った。
どういう意味だろう。
今の僕の状況は・・・
とっさに土浦の両腕を掴んでいて・・・
誤解を解こうとして土浦との距離が縮まっていて・・・
土浦も驚いた顔して固まって。
そうやって僕も止まった思考を回転させてみると・・・・
え?何?今のこの状況って僕が怪しいことしようとしてた感じ?!
『加地・・・君は土浦をそういう風に思っていたのか。』
物凄い形相でこちらを睨んでる彼の方を向いて、
慌てて土浦から離れる。
土浦はといえばよくわからない状況のまま固まっていた。
『そうなのか・・・?』
いや、違うでしょう。そこ否定してよ土浦。さっきまで会話してたんだから。
『日野さんでないなら・・・・、彼なんだろう?だからそれを示そうと彼にっ・・・・・』
ちゃんと中身まで聞いてたんだ月森・・・・。
僕が土浦を狙っていて、日野さんでなくて土浦が好きなんだって、彼にしかけようとした、・・・と。
なるほど、見事に恋人達にダブルで誤解されそうだ。
『なっ・・・・。おまっ・・・まさか俺にキ・・・』
『違うよ。しないから。それこそ誤解だよ。僕の好きな人は君よりももっと大人で素敵でミステリアスなヒト。』
真剣な瞳で土浦に言えば、信じてもらえたらしく彼のボルテージは下がる。
後は月森。
『勘違いさせちゃってごめんね、月森。土浦の言葉をちょっと否定しようと詰め寄っただけ。土浦は君だけのものだから安心して?』
笑顔で首を傾げれば月森は自分の思い違いだと知って、
さらに僕の言ったことに反応して
顔を赤らめる。
『すまない・・・、そうだったのか・・・。』
『あはは・・・いいよ別に。恋は盲目って言うもんねぇ・・・』
あの冷静な月森が、ここまで一瞬でヒートアップするっていうのもなかなか面白いよね。
『君はたくさんの人に頼られたり・・・囲まれたりするから・・・たまに不安になるんだ・・。』
『・・・・・妬いてたのか?加地に。ふっ・・・、しょうがない奴だな。』
そう言って笑って、一瞬で土浦は月森の前髪に口づける。
ちょっとちょっと・・・ここ校内だよ・・・?
慌てて周りの人目を確認する。
とりあえず誰も気付かなかったことに胸を撫で下ろす僕。
って、本人達より僕が気にしてるって・・・どういうことかな・・・。
『俺が好きなのはお前だけだ。』
爽やかな笑顔でさらっと月森に告げる土浦の目は、
愛しい者を強く思うそれで。
それを聞いた月森は、
頬を染め、こくりと小さく頷いた。
恋人達の愛の歌は
いつだって甘く優しい。
愛しい人の耳に響く
con affettoのメロディ。
僕もいつか愛しい人に
僕だけのために歌ってほしい。
愛を込めて、優しく・・・・優しく――
