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その瞳に魅せられて〜Presto〜(後編)
2009-04-15
なら、残った答えは一つ。あまり信じられないが、冷静に考えた結果だ。消去法で最後に残った答えが間違いでないなら何かしらアクションが有るはず。そう思って俺は王手をかけた。「はぁん。…さてはどちらでもないな?…年下…、1年じゃなくて、…丁度いろんな高校を見学しなきゃいけない、進路模索中の…中3ってとこか。」
「…なっ、…」
相手は意外と素直だった。あまり言い当てられたことがなかったのかもしれない。
「当たりか。」
…にしても可愛気無い反応だな…
招かれざる侵入者は、終始反応が最小限で、飄々としていて、それでいて挑戦的でムカつく言い方をワザとしてくる。
こっちの反応を楽しむかのように。
…中学の頃は、俺もそんなだったかもな。周りに挑戦的なのは、認めて欲しい気持ちの裏返しで。大人になりたいのに、まだ子供な自分にイラついて、卑屈な態度取ってみたりしたっけ。
そう思うと、目の前の大人びて見える中学3年生が、可愛気があるように見えてくるから、俺は何だか可笑しくなった。
すると、俺が笑ったのが気に食わなかったのか、更に突っかかってくる目の前の少年。
気付いたら俺も挑発に乗ってしまい、最後には泣かす、とまで言ってしまっていた。
…大人気ないとは思うが、相手が半端なく生意気なんだからしょうがないだろ…さっき可愛く見えてきたとか思ったが、やっぱ訂正だ。
誰に言うでもなく俺が自分に言い訳していると、
目の前の生意気なガキが、俺の顔の前に右手を突き出してきて、俺を指差しながら挑戦状を叩きつけてきた。
「今度の土曜日、海岸通り。キーボード持って来いよ、楽しみにしてるから。」
少年は、勝負する前から勝ち誇った顔で言い放つ。
…っつーか、何様のつもりだよこのくそガキ!!生意気だし敬語のケの字も見えねぇし、この期に及んで、んな事もうどうでもいいが、…ってか敢えて敬語にされるほうがムカつく気がするし。背ちっこい癖に態度デカいし、第一、人に指差しちゃいけませんって、習ってねーのか幼稚園で!幼稚園から学び直して来い!生意気ガキんちょがっ…!
俺は叫びたいのをグッと堪えて、生意気ガキんちょ(もう生ガキでいいか)の右手を自分の左手で掴み、左側によけさせた。
キーボード、と言ってくるくらいだ。やっぱりこいつは何か楽器が弾けて、俺と弾き比べで勝負したいってとこか。
海岸通りまでは俺の家から結構ある上に、キーボードだって軽くない。
だが、売られた喧嘩は買わねばならないだろう。
俺は文句を飲み込んで、言葉を返した。
「…ったく、わかったよ。」
そう言った瞬間、よけた生ガキの右手の親指の先が、俺の左手の親指に触れる。
僅かだが、硬く、タコができているような感触。思わず何気なく確認した人差し指の指の先は、マシュマロのように柔らかかった。
ピアノを弾いていれば自然に全部の指の腹が厚くなるものだが、こいつは違う。
ふと、少し前に日野が、ヴァイオリンは弓を支える右手の親指が、弓の窪みに当たるから、ヴァイオリン教室の先生は親指が硬かったと言っていたのを思い出した。
ヴァイオリンじゃなくても、弓を持つ他の弦楽器かもしれない。
乱暴に振り払われた自分の手を見ながら、相手は大事な手を触られて怒ったのだろうかと思った。
少し好奇心や探求心に負けて、触り過ぎたかもしれない。
…音楽やる者としては、ちょっとマズかったか。
気分を害しただろう、と少し反省しかけた。
「そうそう、今度はキーボード壊すなよ?その怪力で。」
生意気な笑いを含んだ言葉を聞くまでは。
…〜っ、こいつ、なんも気にしてねぇだろ!!ってか…
「こっ…の、生ガキがあああああ!!!!」
閉まったドアに叫んだ声が、聞こえたか知らないが。
叫ばずにはいられなかった。
初めてアイツを見た瞬間
生意気そうだが
綺麗な顔。
俺を見透かすようなワインレッドの瞳に
吸い込まれそうになったのは…気のせい。いや、俺はなってない、そんなことに。絶対無い無い。
―俺のありふれた日常に、アイツのせいで波乱の予感―
海岸通りまでは俺の家から結構ある上に、キーボードだって軽くない。
だが、売られた喧嘩は買わねばならないだろう。
俺は文句を飲み込んで、言葉を返した。
「…ったく、わかったよ。」
そう言った瞬間、よけた生ガキの右手の親指の先が、俺の左手の親指に触れる。
僅かだが、硬く、タコができているような感触。思わず何気なく確認した人差し指の指の先は、マシュマロのように柔らかかった。
ピアノを弾いていれば自然に全部の指の腹が厚くなるものだが、こいつは違う。
ふと、少し前に日野が、ヴァイオリンは弓を支える右手の親指が、弓の窪みに当たるから、ヴァイオリン教室の先生は親指が硬かったと言っていたのを思い出した。
ヴァイオリンじゃなくても、弓を持つ他の弦楽器かもしれない。
乱暴に振り払われた自分の手を見ながら、相手は大事な手を触られて怒ったのだろうかと思った。
少し好奇心や探求心に負けて、触り過ぎたかもしれない。
…音楽やる者としては、ちょっとマズかったか。
気分を害しただろう、と少し反省しかけた。
「そうそう、今度はキーボード壊すなよ?その怪力で。」
生意気な笑いを含んだ言葉を聞くまでは。
…〜っ、こいつ、なんも気にしてねぇだろ!!ってか…
「こっ…の、生ガキがあああああ!!!!」
閉まったドアに叫んだ声が、聞こえたか知らないが。
叫ばずにはいられなかった。
初めてアイツを見た瞬間
生意気そうだが
綺麗な顔。
俺を見透かすようなワインレッドの瞳に
吸い込まれそうになったのは…気のせい。いや、俺はなってない、そんなことに。絶対無い無い。
―俺のありふれた日常に、アイツのせいで波乱の予感―
