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その音に誘われて3
2009-04-13
―別に隠してた訳じゃないけれど、俺は初対面の人間に、こうも短時間で自分の学年を当てられるとは思ってもみなかった。いつも歳より上に見られるのが当たり前だったから―
「…なっ、」
俺は思わず声が出た。会ったばかりの普通科生徒に、あまりにも自信満々に見抜かれたから。
「当たりか。」
驚く俺を見て、男は得意気に笑った。
…何かちょっとムカつく…
たかがこれだけのやり取りで、苛立ってしまう自分が憎らしい。
こういう突っかかってくる人間は向こうでも山ほどいたし、一々相手にせず、すんなり交わすくらい余裕でできるようになってたのに。
「…別に、隠してたわけじゃないし。…それがなに?」
俺は、さも何でもないかのように、涼し気なポーカーフェイスを崩さず言う。
けれど、普通科男子の余裕さは変わらず、
それどころか、フッと鼻で笑った気さえした。
…何が可笑しいんだよ。
俺が目に見えてムッとした時、
更に追い討ちをかけるように、俺の耳には男の聞き捨てならない台詞が聞こえてくることになる。
「お前、俺からすりゃ、生意気な年下って感じだよな。俺の弟は割と素直だが、よく家に連れてくる友達が生意気で生意」
「ざけんな。ガキ扱いすんな。」
よくわからないが嬉しそうに話し出した長身の生徒の話をぶった切って、俺はドスを聞かせた声で吼えた。
俺は普段、直ぐに頭にきたりしない。
大抵のことは受け流せばいいし、相手にすればかえって自分の時間を削ってしまうから。
だけど、今は何か頭の中で切れて、そんなこと言ってられなくなった。
俺は普通科生徒を切れ長の瞳で睨みつけ、ギリ、と歯を噛み締める。
「俺が年下っぽい?他の同学年と一緒にすんなよ。ナメてるとあんた痛い目みるぜ。」
掴みかかりたいのをすんでのところで抑えて、代わりに挑戦的に睨み上げた。
すると男も腕を組んだまま目を細め、明らかな威圧をしてくる。
「痛い目?フッ、遭わせられるなら遭わせてみろよ。お前に勝ち目はないと思うがな。他の中坊とどこが違うのか、どうやって証明してくれるんだ?」
…なんで上から目線なんだよ!ほんと一々ムカつく奴…。
相手も馬鹿みたいに簡単に挑発に乗ってきた。
コイツのプライドをズタズタにして、その上俺の凄さを身をもって体感させるには持って来いだ。
すでに勝敗が見えている勝負。悔しがるコイツが早く見てみたいと、俺は落ち着きを取り戻した。
「…いいよ。そんなに見たいなら痛い目見せてやる。…アンタ、なんで普通科なのか知らないけど、ピアノ一応それなりに弾けるだろ?」
俺は腕を組み、ピアノに一瞬視線を送りながら、男に視線を戻す。
完璧に罠にハマっていく相手に、俺は心の中で嘲笑する。
「お前…盗み聞きかよ。」
「扉開けたまま弾いてる方が悪いと思うけど。廊下に響き渡ってたぜ?…ピアノ線切るとか、有り得ないことアンタがしでかすまでは。」
眉間にシワを寄せた男は、俺の台詞で、多少苦虫を噛み潰したような顔になった。
俺はそんな普通科生徒を見て、気分が良くなっていく。
「うるせぇ、ピアノが古くなってただけだろ。早く言えよ、職員室行かなきゃいけないんだから。」
男は思い出したように、突然扉へ向かって歩き出す。
黒い制服のデカい体が、俺の横を過ぎようとする。
「逃げるんだ?…やっぱピアノに自信ない?」
俺は瞳を閉じて、ズボンのポケットに手を入れる。
そしてチラリと男を薄目で見てやれば、男の気配が一気に変わったのが解った。
そう、ついさっきピアノを弾いてる時にこの男から感じた、炎に似た強い闘志を。
「自信無い?…んなわけないだろ。何するか知らないが、早く言えよ。泣かせてやるから。」
男が戦闘モードに入る。
俺も我を忘れ、枷が完璧に外れる。
…泣かせてやる?
「それ、こっちのセリフだから。」
…アンタを立ち上がれないくらい負かしてやる…!
体が熱くなった。俺の腹にも火が灯ったかのように、熱く。
そしてどこかで、俺と同じことを考えるなんて、案外似たタイプか…?…なんて、俺は他人事のように思ってもいた。
おもむろに俺は人差し指を立てて、他の指を軽く握り、男の顔前に向かって挑戦的に突き出す。
「今度の土曜日、海岸通り。キーボード持って来いよ、楽しみにしてるから。」
自然と笑みがこぼれる。
口は勝手に動いていた。
「…キーボード?……ったく、わかったよ。」
あからさまに嫌な顔をしながら、男は俺の手を掴み、顔の前から無理やり退かせる。
俺は、掴まれたその手を乱暴に振り解いて、男に背を向けた。
「そうそう、今度はキーボード壊すなよ?その怪力で。」
フッ、と笑って扉を出る。
何か後ろで叫んでるけど、聞こえないことにした。
俺は腕を組み、ピアノに一瞬視線を送りながら、男に視線を戻す。
完璧に罠にハマっていく相手に、俺は心の中で嘲笑する。
「お前…盗み聞きかよ。」
「扉開けたまま弾いてる方が悪いと思うけど。廊下に響き渡ってたぜ?…ピアノ線切るとか、有り得ないことアンタがしでかすまでは。」
眉間にシワを寄せた男は、俺の台詞で、多少苦虫を噛み潰したような顔になった。
俺はそんな普通科生徒を見て、気分が良くなっていく。
「うるせぇ、ピアノが古くなってただけだろ。早く言えよ、職員室行かなきゃいけないんだから。」
男は思い出したように、突然扉へ向かって歩き出す。
黒い制服のデカい体が、俺の横を過ぎようとする。
「逃げるんだ?…やっぱピアノに自信ない?」
俺は瞳を閉じて、ズボンのポケットに手を入れる。
そしてチラリと男を薄目で見てやれば、男の気配が一気に変わったのが解った。
そう、ついさっきピアノを弾いてる時にこの男から感じた、炎に似た強い闘志を。
「自信無い?…んなわけないだろ。何するか知らないが、早く言えよ。泣かせてやるから。」
男が戦闘モードに入る。
俺も我を忘れ、枷が完璧に外れる。
…泣かせてやる?
「それ、こっちのセリフだから。」
…アンタを立ち上がれないくらい負かしてやる…!
体が熱くなった。俺の腹にも火が灯ったかのように、熱く。
そしてどこかで、俺と同じことを考えるなんて、案外似たタイプか…?…なんて、俺は他人事のように思ってもいた。
おもむろに俺は人差し指を立てて、他の指を軽く握り、男の顔前に向かって挑戦的に突き出す。
「今度の土曜日、海岸通り。キーボード持って来いよ、楽しみにしてるから。」
自然と笑みがこぼれる。
口は勝手に動いていた。
「…キーボード?……ったく、わかったよ。」
あからさまに嫌な顔をしながら、男は俺の手を掴み、顔の前から無理やり退かせる。
俺は、掴まれたその手を乱暴に振り解いて、男に背を向けた。
「そうそう、今度はキーボード壊すなよ?その怪力で。」
フッ、と笑って扉を出る。
何か後ろで叫んでるけど、聞こえないことにした。
