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Secret time3 〜続Seiso番外編〜

 2008-11-15


Secret timeもこれでフィナーレ!

是非ともPCからMIDI リストの【愛の夢】を
小説のちょうど良さそうなところから流してお楽しみ下さいv

月森さんの気持ちに入れるかもしれません。


では続きからどうぞ〜。



「土浦…、」

溜め息と共に言いかけて、俺は口を噤んだ。


聞きたかった。

あの後チョコは全て食べてくれたのだろうか、

俺の気持ちは伝わったのだろうか。

そこまできて、はたと気づく。

…そう言えば、俺は言葉にして思いを伝えていない…

薬の影響で、渡す順序も何も無くなってしまっていたような気がする。

君を見たら我慢できなくなってしまったような…

そんな自分が今となっては浅ましい。

君は俺の醜態を見て、……

「…土浦。」

俺は土浦のベッドから起き上がり、俯いた。
頭をクシャクシャとかいている土浦に問いかける。

「…その…、君は…俺を嫌いになっただろうか…」
「…は?」

驚いた顔をして土浦は俺を見る。

俺はとても居たたまれない気持ちになる。

「…君にあんな姿を見せて…、…あんな…、……」

泣きたい程に。

欲にまみれた、あんな姿を見て、

俺に…

失望しただろうか。


硬く目を瞑ると、
強い腕に引き寄せられ、
その温かい胸の中に抱きしめられた。

「バカ言うな。…嫌いになんかなるわけないだろ。…寧ろ…」

言いかけて、土浦の言葉が途切れてしまった。

不思議に思い、続きを聞きたくて、

顔を上げた。


すると飛び込んでくる蜂蜜色。

少し色の濃い健康的な肌。

口付けできそうな間近の位置に、

君の整った、男らしい顔。


時が止まる。


心臓が五月蝿い程に脈打って。
止まらない、
君への…

思い。


土浦の顔がゆっくりと近付いて、
距離が縮まる。

土浦の長い指が頬に触れて、
俺は自然と…目を閉じる。

…ああ、俺は、

君のことが、とても…

とても――





土浦の唇が触れる事を強く望んでいた俺の耳に、

不意に甘いメロディーが流れ込んできた。

愛を、繰り返し繰り返し囁くような、
優しく温かい、

心震える曲。

少し、君の囁く低音に似ている。


俺は瞳を開け、音の元を探した。

どうやら、その曲は土浦のズボンのポケットから聞こえてくるようだ。


リスト、夜想曲第3番変イ長調―愛の夢―。


「…土浦…」

土浦を見上げ、視線を合わせると、

土浦は俺の髪に長く太めの指を絡ませ、俺の後頭部を撫でた。

俺の胸はまた、とくりと音を立てる。

蜂蜜色は曲に構うつもりが無いらしく、瞳は細められたまま。

俺は思わず、土浦のスーツの上着を少し掴んだ。

メールにしては、着信の曲の長さが長い。

「土浦、鳴っている…。その格好、これから仕事なんだろう?…仕事の電話ではないのか?」

スーツ姿の土浦を、行かせたくないと思いながらも、

仕事が第一優先だろうと電話に出るよう土浦を促した。

「気にすんな、アラームだ。」

そう土浦が口にして、土浦の唇が俺の唇に重なった。

布団が荒々しく剥がされ、体を拘束される。


「土、浦…っ、アラーム、なら、行く時間なんだろう?!、こんなことをしている場合では…」

バタバタと暴れてみるが、土浦はビクともしない。

容易に腕をシーツに縫い付けられ、

甘く、甘く、

口付けが

開かれたシャツの中の
首や鎖骨、

胸に降る。

「…曲が終わるまで、…良いだろ?…こんな夢みたいな朝は、滅多にないんだろうから…」

土浦がふと縋るような強請るような、

子供のような瞳をして
俺を見る。

…ずるい。

俺に、君のことをこんなに好きにさせておいて、

まだ、君を更に好きにさせるつもりなのか。


滑る指、

上がる息、

腹に、腰に、

触れる熱い息と唇、

激しくなるメロディ。


ノクターンがこんなに激しい夢でいいのだろうか。

この曲はまるで
俺を抱く君そのもの

優しく
甘く

情熱的で
激しい

めまぐるしく
様々な顔を見せる君の

魅力そのもの


「土浦っ…」

転調する曲

名前を呼ばれて
強く抱かれて

涙が出そうになった

あぁ、好きだ…

俺は君が…


「君が、…好きだ…!土浦…っ」

「月森…、あぁ。…俺も、お前が…好きだ。」

一滴零れた。



落ちる音

流れ出る言葉

ずっと言いたかったが、言えなかった言葉。

この世界に入って

君がどれだけ支えだったか

どれだけ

君が安心できる場所か

辛く厳しく忙しい現実に

俺が初めて見つけた

安らげる場所なんだ。


「君の…隣にいたい。」

首に抱きついて、
少しだけ、今だけ
君に甘える。

優しく笑って、強く君は
俺を抱きしめる。

「…あぁ、いくらでもいろよ。俺が離さない。」

強く、強く。


その腕にも愛していると言われているようで、

俺は堪らなく
君が好きなんだと
自覚する。

深く、甘い、
キスを繰り返す。

顔の角度を変え、
何度も、何度も君の愛を
味わうように。


曲がゆっくりと夢の終わりへと近付く。

滑る暖かさが、

名残惜しくなる。

…君が行ってしまう…

曲が終わったら君は仕事に行ってしまう…。

離れたくない。

優しく額を撫でた土浦の手のひら。

そして額に降りてくる、暖かい口付け。

「…んじゃ、そろそろ行ってくるが…」

情けないことに、俺の肩はビクリと跳ねた。

…待っていなければ…

俺の部屋で君の帰りを。


「お前、今日休みだろ、俺の部屋にいて良いから。ゆっくりしてけよ。」

笑顔で、椅子に避難してあったスーツの上着を羽織る土浦。

…な?!

「…いて、…いいのか…?」

俺が驚き、呆けていると、ダークグリーンのネクタイを直しながら土浦は色を含んで言った。

「…あぁ、いいぜ。何なら一日ずっとそのカッコでいて、俺の出迎えしてくれても良いけどな。」

口の端を吊り上げた土浦の視線が、俺の足下に向いているので、
疑問に思い、自分の姿を見る。

俺の太腿が、大きめの白いシャツの裾から堂々とはみ出しているのが確認できた。

…!?

今の俺は、全くの素肌に、俺より身長の高い土浦の物であろうシャツだけを纏った状態だった。

しかも土浦が乱したために、ボタンはほとんど離れてしまっている。

「…な、…土浦っ…」

俺は乱れた前を急いで合わせ、シャツの裾を引っ張り足元を隠すが、
頬の熱さは隠せない。


夢のようなメロディーはいつの間にか止んでいた。


「んじゃ、行ってくるな。」

手を振り微笑しながら、土浦は部屋を出る。

俺は今日だけ君を見送る。


君の匂いに包まれて。

君の部屋で君を待つ。


「あぁ、いってらっしゃい。」



fin




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