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揺れるお前と心と風と5
2008-08-04
元から積極的な方ではない蓮は、俺の言葉を聞いて、文字通り目を点のようにした。
「…、何を言ってるんだ君は…、こんなところで、こんな状況で…、できるわけ…」
「なら、もっかい漕ぐか…?」
我ながらセコいと思いながらも、今更無しにもできない。どうやってでも今日は蓮からしてもらいたい。
俺が落としていた腰を上げ、再び漕ぎ始めるそぶりを見せれば、蓮は驚いたように鎖を強く握った。
そして、眉根を寄せて綺麗な顔を歪めながら、俺をじっと睨むかのように見ていたかと思うと、蓮はふと視線をさまよわせ、また俺を真っ直ぐに見上げる。
迷うのも無理はない。蓮の言うとおり住宅地内の公園だし、既に高校生男子二人が二人乗りしてる時点でいろいろ目立つ。
更に揺れているブランコの上でキスをするということは、少しばかり技術やら配慮やら必要とされるだろう。
そんなことを考えていた俺は、立っているうちに無意識にブランコを漕いでいたらしく、蓮に声を出すきっかけを与えていた。
「もうっ…、…止めてくれ、…する、から…」
「わかった。」
自分でもニヤリと笑っているのを感じながら、俺は蓮の前にしゃがんでやる。
「ん。」
俺は目をつぶり、揺れに体を任せて、蓮からキスがくるのを待った。
…
…と見せかけて、薄目を開けてみる。
すると蓮の真剣な顔が見えた。
覚悟を決めたのか、蓮の喉がこくりと動き、口をキュッと結ぶ。
蓮の視線が俺の口だけに集中しているのは、何だか嬉しいものを感じる。
俺の為に懸命に応えようとしてくれる蓮を、この瞬間、独り占めしているんだと。
…お前の愛を、お前から感じさせてくれる…
そんな美味しいシチュエーションはそうそう無い。
今か今かと待っていると、蓮の薄い唇は、少し距離が近づき、ビクリと近づくのを躊躇った。
その繰り返し。
近づいては少し離れ、
近づいては動きを止める。
なかなか唇が合わさるところまで行ってくれない。
蓮にしてみれば、歯をぶつけそうで怖いのかもしれないし、自分からはあまりしないから恥ずかしさもあるかもしれない。
…焦らすなよ…、無意識だろうけど。
期待と興奮故の焦燥感。
蓮に関しては、俺は本当に余裕のない男になってしまう。
“まだか”とか、“多少痛くても大丈夫だ”とかいろいろ言葉が溢れそうになるが、ぐっと飲み込んで、たった一言だけ、風に乗せる。
「…れん。」
出来るだけ優しく、名前を呼んでやれば、蓮は肩をビクリと動かした。
そして、数度瞬いた後、もう鎖が少し鳴く程度になった揺れに合わせて、そっと自分の唇を俺の唇に触れさせた。
瞳を閉じて近付いてくる蓮の顔が、カワイイなんて言葉じゃ言い表せないくらいに愛しくて、色っぽかったので、
俺はこのまま何もかも忘れて蓮の全てを味わいたいと一瞬思った。
けれど、さすがにそれはマズいかとギリギリのところを理性で押し止める。
俺も蓮に合わせて瞳を閉じ、感じる。
温い夜風と、鎖の上で重なった体温と、
一定のリズムで揺りかごのように揺れる鎖の音と、
すぐ側に香る蓮の匂いと草の匂い、
濡れた蓮の唇と舌の感触に、溺れていく。
揺れる、揺れる。
触れて、重なり、
心と体が
混じり合う。
ブランコが完全に演奏を終えるまで、
俺たちは、お互いを感じていた。
…不思議だ。同じ人間なのに、俺とは違う生き物で。
だからこそ、もっと知りたくなるし、もっとお前の一部に…
俺の一部にしたいとおもってしまう。
「蓮…」
「りょ…ぉ…」
繋がりの果てに、乱れた息で、お互いを呼んでは愛を確認する。
「それが好きってことなんだろうな。」
「…?」
前後のない俺の言葉が理解できず、蓮は不思議そうに首をひねるが、俺は何も言わずにただ、微笑んだ。
そして、ブランコに片膝をかけ、もう片足を地面につけてブランコを固定しながら、ゆっくりと、その魅力的に白く輝く肌を、月明かりに晒すことにした。
―今日は制御がきかない。全ては輝く月に導かれるままに―
Fin
そして、数度瞬いた後、もう鎖が少し鳴く程度になった揺れに合わせて、そっと自分の唇を俺の唇に触れさせた。
瞳を閉じて近付いてくる蓮の顔が、カワイイなんて言葉じゃ言い表せないくらいに愛しくて、色っぽかったので、
俺はこのまま何もかも忘れて蓮の全てを味わいたいと一瞬思った。
けれど、さすがにそれはマズいかとギリギリのところを理性で押し止める。
俺も蓮に合わせて瞳を閉じ、感じる。
温い夜風と、鎖の上で重なった体温と、
一定のリズムで揺りかごのように揺れる鎖の音と、
すぐ側に香る蓮の匂いと草の匂い、
濡れた蓮の唇と舌の感触に、溺れていく。
揺れる、揺れる。
触れて、重なり、
心と体が
混じり合う。
ブランコが完全に演奏を終えるまで、
俺たちは、お互いを感じていた。
…不思議だ。同じ人間なのに、俺とは違う生き物で。
だからこそ、もっと知りたくなるし、もっとお前の一部に…
俺の一部にしたいとおもってしまう。
「蓮…」
「りょ…ぉ…」
繋がりの果てに、乱れた息で、お互いを呼んでは愛を確認する。
「それが好きってことなんだろうな。」
「…?」
前後のない俺の言葉が理解できず、蓮は不思議そうに首をひねるが、俺は何も言わずにただ、微笑んだ。
そして、ブランコに片膝をかけ、もう片足を地面につけてブランコを固定しながら、ゆっくりと、その魅力的に白く輝く肌を、月明かりに晒すことにした。
―今日は制御がきかない。全ては輝く月に導かれるままに―
Fin
