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いつもお前だけを思ってる5
2008-05-03
蓮は俺に促されるまま、出した箱をそっと開く。俺はこっそり調理室のナイフを拝借しながら、蓮の瞳が月のようにまん丸になるのを見た。
蓮の開けた白い箱の中には、まだほんのり温かいパイの台座、その上には赤紫の甘酸っぱい香りを放つジャムが敷き詰められていて、藍黒色の実で飾り付けてある。
「…ブルーベリーの…タルト?」
「あぁ、…誕生日…おめでと。蓮。」
切り分け用のナイフを持って近づくと、蓮は瞳を揺らして、人形のようなぎこちない動きでブルーベリータルトから俺に視線を移す。
「…俺…、に…?」
「お前以外の誰にやるっていうんだ。」
俺が笑うと、蓮は今まで堪えていたのか、溢れ出すように思いをポツリぽつりと口にしだした。
「……っ、…忘れられているのかと…」
「忘れるかよ。」
「君は…っ、朝から冷たかったから……」
「悪かった。考えすぎて何プレゼントしたらいいかわからなくなってて…、朝ちゃんと話もしてなかったよな…」
「…………すっかり忘れられているものだと、諦めようと思ったんだ…。…けれど、先ほど気付いたら君のクラスの前にいて…、せめて合奏でもと思って…」
「…中覗いたら、原田あたりに、俺は告白で呼び出されたって言われた…?」
眉根を寄せながらコクリと蓮は頷く。
頷く姿がいじらしくて、同時に凄く申し訳なくなった。
練習室でヴァイオリンを奏でながら、どんな思いで…告白されている俺を待っていたんだろう。
「…悪い…、ほんとごめんな…。誤解させちまって…」
蓮は俺を見つめると、静かに首を横に振った。
「いいんだ。…その優しさは君の良いところだし、君が俺のために悩んで、作ってくれただけで…、それだけで…俺は…幸せだ。」
天使のような柔らかな笑顔を向けられて、俺の罪悪感が刺激された。
…俺に…幸せと言ってもらえる資格はあるんだろうか。
「…蓮…、…でも俺は…。材料も案も伊部がいたからできただけだし…、俺からなんも用意できてなくて…なんか…、すげーみっともねぇ…」
「君は…俺のためにこのタルトを作ってくれて…、俺にくれるんだろう?…なら、俺はそれで十分だ。…君の気持ちが…こもっているんだから…」
蓮は普段見せない、零れるような笑顔を惜しみなく見せてくれる。
愛されてる、と感じるのはきっと自惚れではないと思う。
「蓮…、…ありがとな。…んじゃ、タルト食べてくれるか…?」
そう言いながらサクサクとタルトにナイフを入れると、横で蓮の瞳が輝いた気がした。
「っ、!…あぁ…」
嬉しそうに微笑む蓮は凄く可愛く。
…こんなんでいいならいくらでも作ってやるぜ?
そう喉元まで出たけれど、蓮は甘いものをそんなに持って来られても困るだろうと思い直す。
「お前…ケーキとか甘いもの大丈夫だっけ。」
「…甘いものを食べられないわけではない。…それに、ブルーベリーならそんなに甘くはないだろうから大丈夫だ。」
蓮の視線はすっかり俺が切っているタルトに釘付けになっていた。食べる気満々だ。
…ブルーベリーで正解だな。
伊部の話を聞いたとき、気にかかったのはケーキの種類だった。
サッカー部の彼氏とやらの好みを思い出して、蓮が大丈夫そうだったから話に乗ったんだ。
…俺は…いつだって…
ブルーベリータルトを綺麗に6等分に切り終わると、1切れ持ち上げて蓮の顔の前に持っていく。
「ほら、開けろ。」
「…なっ…、このまま…?!」
「しょうがないだろ?フォーク無いし。…早くしろ、零れる…」
「なら自分で…」
「お前の手まで汚れるだろ、ほら早く…口開けろ…」
ブルーベリーのジャムは甘酸っぱい香りを撒き散らしながら、少し横に垂れてきていた。切り分けた俺の指も少し赤紫に染まっている。
蓮の頬まで薄ピンクに染まり、羞恥やらプライドやらと葛藤しているようだ。
…ったく、お前がタルトを食べるより早く、俺の方がお前を食べちまうぞ。
少しして決心したらしい蓮が薄く口を開ける。
けれどどう考えてもそんなに上品な口じゃ縦の開き方が足りなくて、タルトの尖った先の方すら入らないことが予想される。
「蓮…、それじゃ入りきらないだろ、もっと開けろ…」
「…ぁ…」
俺の心臓がドキドキしてるのは、恥ずかしがって恐る恐る口を開ける蓮が厭らしく見えてくるせいか。
はたまた俺と蓮のやりとりのせいか。
…あれだな。蓮に関しては俺、可笑しなフィルターがかかっちまってるんだろう。
苦笑していると蓮はパクリとブルーベリータルトの先の方を口に含んで、口をモグモグ動かした。
「…どうだ…?」
「…ん…」
まだ飲み込み切れていない蓮は、感想を言おうとして急いで飲み込もうとする。
「…ふ、慌てんなよ。…どっちかっつーとゆっくり味わってほしいんだからな?」
俺を見て一瞬困ったような顔をした蓮は、少し考えて首を縦に振った。
「っ、!…あぁ…」
嬉しそうに微笑む蓮は凄く可愛く。
…こんなんでいいならいくらでも作ってやるぜ?
そう喉元まで出たけれど、蓮は甘いものをそんなに持って来られても困るだろうと思い直す。
「お前…ケーキとか甘いもの大丈夫だっけ。」
「…甘いものを食べられないわけではない。…それに、ブルーベリーならそんなに甘くはないだろうから大丈夫だ。」
蓮の視線はすっかり俺が切っているタルトに釘付けになっていた。食べる気満々だ。
…ブルーベリーで正解だな。
伊部の話を聞いたとき、気にかかったのはケーキの種類だった。
サッカー部の彼氏とやらの好みを思い出して、蓮が大丈夫そうだったから話に乗ったんだ。
…俺は…いつだって…
ブルーベリータルトを綺麗に6等分に切り終わると、1切れ持ち上げて蓮の顔の前に持っていく。
「ほら、開けろ。」
「…なっ…、このまま…?!」
「しょうがないだろ?フォーク無いし。…早くしろ、零れる…」
「なら自分で…」
「お前の手まで汚れるだろ、ほら早く…口開けろ…」
ブルーベリーのジャムは甘酸っぱい香りを撒き散らしながら、少し横に垂れてきていた。切り分けた俺の指も少し赤紫に染まっている。
蓮の頬まで薄ピンクに染まり、羞恥やらプライドやらと葛藤しているようだ。
…ったく、お前がタルトを食べるより早く、俺の方がお前を食べちまうぞ。
少しして決心したらしい蓮が薄く口を開ける。
けれどどう考えてもそんなに上品な口じゃ縦の開き方が足りなくて、タルトの尖った先の方すら入らないことが予想される。
「蓮…、それじゃ入りきらないだろ、もっと開けろ…」
「…ぁ…」
俺の心臓がドキドキしてるのは、恥ずかしがって恐る恐る口を開ける蓮が厭らしく見えてくるせいか。
はたまた俺と蓮のやりとりのせいか。
…あれだな。蓮に関しては俺、可笑しなフィルターがかかっちまってるんだろう。
苦笑していると蓮はパクリとブルーベリータルトの先の方を口に含んで、口をモグモグ動かした。
「…どうだ…?」
「…ん…」
まだ飲み込み切れていない蓮は、感想を言おうとして急いで飲み込もうとする。
「…ふ、慌てんなよ。…どっちかっつーとゆっくり味わってほしいんだからな?」
俺を見て一瞬困ったような顔をした蓮は、少し考えて首を縦に振った。
