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いつもお前だけを思ってる2

 2008-04-30
「…何喜んでんだ…?お前俺に告白する気じゃ…」
「ふふふっ…、付き合うってそっちか〜。…違うわよ、別の頼み事。お菓子作りに付き合って欲しいの。」

金髪美少女は腹を抱えて笑い、俺に向かってウインクする。

…待て、何がなんだか…

俺がさっぱり状況がわからないのを感じてか、真面目な顔に戻ると、伊部は話を始める。

「実は…私彼氏いるんだけどね…、ほら、私って音楽科の噂の美少女ヴァイオリニストでしょ?…周りにはお菓子作りとか得意だと思われてて…」
「自分で噂の美少女とか言うなよ…」
「話遮らないでちょうだい!…それで彼がお菓子好きだから作ってあげようと思ったんだけど…周りの女友達にすら作り方聞きにくくて…」
「んなの、本見りゃすむことだろ。わざわざ俺に頼まなくても…」
「彼サッカー部だし、土浦くんに好みの確認してもらったり、…その、…男の子の意見言って欲しいなって…、それに私、本見ても料理全然駄目で…、日野さんに前に土浦くんは料理上手って聞いて…普通科の土浦くんならお願いしやすいかなって…」

……日〜〜野〜〜。
何音楽科にまでベラベラと…っ!
許さねえアイツ…こんど会ったら二度と変なこと言って回るなってガツンと言ってやるからな…

俺は髪をかきむしった後、伊部に背を向けて、ドアに近寄りながら言う。

…少し悪いと思うが、俺だって今日はそんな気分じゃ…

「……〜状況はわかったが、俺も菓子なんて作ったこと……、殆どねーし、時間も無いからもう帰らせて…」
「今の間は何?…あるんでしょ?作ったこと!…お願いっ、君だけが頼りなの!…今日じゃないと駄目なのよ!…今日なの…、彼の誕生日…!」

必死に俺の腕を引っ張り懇願する姿や真剣な瞳、そしてこの女の恋人が今日誕生日だということに驚き、俺は振り向いて伊部を見る。

「お願いっ…」

切なげな伊部の顔や声は、何故だか数分前の悩んでいた自分とダブる。

…恋人の誕生日プレゼント…か…

俺と同じように、好きな奴のために悩む女に、素直に同情した。

好きな奴に何かやりたい、って気持ちを叶えてやりたい気もする。

だが、俺の方はどうする…?

そう考えて、あることを思い付いた。

「…材料、余分にあるんだったら手伝っても良いぜ?」







そろそろ18時になる。

…ギリギリだな…


俺は手元にある出来上がったホールケーキを箱に収める。

「ってか…、料理苦手だったら、普通ブルーベリータルト挑戦しようと思わないだろ…。」
「だって彼の好物がブルーベリータルトって聞いてたから…、土浦くんにも確認とれたし、どうしても作ってあげたくて…。…ありがとう土浦くん、…こんなに上手にできるなんて思わなかったわ、貴方のお蔭よ。」

伊部は俺に教えられたり本と格闘しながら出来上がった、自分で作ったタルトを箱に収めながら、嬉しそうに微笑んだ。

「いや…こっちも助かった。授業料として俺の作ったもんは貰ってっていいんだよな?」
「ええ。失敗用に余分に用意したから、どうぞ遠慮なく貰って?」
「そうか、さんきゅ。」

箱をビニール袋に入れて俺は帰る仕度をした。

「…土浦くんはそれ、誰にあげるの?」
「あ?…内緒だ。」

意味深な笑みが出てしまったが、伊部は特に気にしないで笑い返した。

帰ろうと扉に向かうと、扉のガラスの向こうに揺れる金色と目が合う。

廊下には俺を見て固まっている蓮がいた。

「れ、…んっ?!」

俺がガラッと扉を開くと、弾かれたように廊下を走り出した蓮。

…マズい、誤解したか?!

けれど走って追いかけたくても、タルトが崩れるのが危険で、すぐには走り出せない。

「〜っ、悪い伊部、ちょっとこれ預かっててくれ!」

そう叫んでタルトの袋を調理台の上に預け、
返事も聞かずに全力で蓮を追いかけた。



「…わかった…、って今の月森くん…?」

残された伊部はポカンとしながら一人呟いた。





蓮があのまま全力疾走してるとしたら、真っ直ぐ帰る気だろうから、大体昇降口あたりだ。

…ってことは丁度この辺か…?

2階の廊下を走っていた俺は、窓を開けて、ヒュッと風を切りながら窓の外に飛び降りる。

「…よっ。」

感情が突っ走って、体が勝手に動いてしまう。

2階なのでそんなに衝撃を感じないで地面に着地することができた。

着地音と同時に俺の左側に気配を感じて、そちらを見る。

「なっ…?!」

俺が二階から飛び降りて来たために、急ブレーキをかけて止まった蓮を確認して、俺は逃げられる前にその体を拘束した。

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