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空色と君。
2008-04-16
“…梁、”“…梁…”
誰かが呼んでいる。
あぁ、よく馴染んだ弦に近い声質。
「れ…ん?」
“…もう嫌だ、…耐えられない。”
瞳を開ければどこかの白い部屋で2人きり。
「何が…?俺が?」
蓮を怒らせるようなことをしただろうか。身に覚えがなくて俺は首を傾げる。
“…君が…”
「俺が?」
“………、……”
黙ってしまった。
「何だよ?」
強くなりそうな声を抑えて、優しく聞いてみる。
蓮は言いにくそうに口を開いた。
“…君が…、俺以外に優しくするのはもう耐えられない…。
笑いかけるのも、触れるのも。
君はそんなつもりはないのかもしれないが…俺は…”
“…辛い。”
そう言って、今にも消えそうに、儚く痛く笑う。
“…もう…”
抱きしめようと手を伸ばしたら、
パリンと壊れてガラスの欠片になり、
散る。
空間にキラキラ、キラキラ。
蓮が消えていく。
それが切なくて、
気づいてやれなかった自分が情けなく憎らしくて、
俺は…
絶叫した。
「うわああああっ!!」
引きつった情けない声が響いた。
「梁、…梁!?」
体に振動を感じて、意識がふわり、浮き上がる。
焦ったような蓮の声と柔らかな風が、だんだんと頭をクリアにしていく 。
目の前には心配そうな蓮の顔、
俺をのぞき込んでいて、蓮の後ろに吸い込まれそうな水色の空が広がっていた。
「蓮…?」
「大丈夫か?梁…。うなされていた…」
うなされていた?
そう、何だか悲しい…
夢を見たんだ。
「…ごめんな。」
俺は起き上がって、蓮の隣に座り、体を抱き寄せる。
俺が寝ていたのはベンチの上だった。
引き寄せた蓮の体からは、清潔な蓮の匂い。
「梁…?!何が…、どうしたんだ…?」
戸惑う蓮だが、さすがに夢見の悪い俺を突き放すことはしない。
「言いたいことがあったら、ちゃんと言えよ…?…俺はお前が…、」
あの夢が正夢にならない保証はない。
最近蓮が寂しそうに笑うのはもしかしたらそれが原因かもしれない。
俺は一呼吸置いて少し体を離してから、蓮の目を見て告げる。
優しく、顎を捉えて、こちらを向かせて。
「…俺はお前が一番だから。お前以外に本気になれるやつなんて…いないから。」
真剣にそう言えば、抱きしめた腕の中で、蓮が息を飲んだ。
「梁…?」
吐息混じりの声と、揺れた瞳。
「夢の中で、……お前が消えて…、俺が…、お前意外に優しくするから辛いって…」
俺は何を言ってるんだろう…?言葉がちゃんと整理しきれない。
それでも蓮はすっと目を細めて、さまよわせた。
「…それは…、もしそうだとしても、俺の我が儘だ…。」
「だから、…我が儘も言えって。…恋人の我が儘なんて可愛いもんなんだから。」
蓮は俺の方を見て、それから小さく赤くなった。
「そうなのか…?…わかった。…なら、一つだけ…」
チラリと目線だけ俺を見上げて、唇を少し開けたり閉めたりした。
そして…、
「出来れば一緒に帰って欲しい…」
そう言って口を噤んだ。
そういや、最近クラスが行事のせいで忙しくて、蓮と一緒に帰れてなかった。
蓮のクラスは出し物無いらしいから、すぐに終わってしまって、待たせるのも悪いから先に帰ってもらっていたんだ。
「…けど、俺のクラス最終下校ギリギリまでやってるから…悪…」
「ヴァイオリンの練習をしながらなら、いくらでも待てる。」
真っ直ぐに澄んだ声、強い瞳。
ここまで言われて反対するのは野暮と言うものだろう。
…蓮が俺と帰るために、待っていてくれる。
嬉しくない筈がない。
「わかった、じゃあ待っててくれ。…終わったら迎えに行く。」
「…ああ。」
嬉しそうに微笑んだ蓮を見て、やっぱり寂しかったんだと思った。
そして、
一つ、蓮の望みを聞いてやれた俺は、はたと先ほどの自分を思い出した。
「蓮、…お前、さっき…膝まく…」
「梁。そろそろ昼休みが終わる。教室に戻らなければ。」
蓮はベンチから立ち上がろうとするが、俺の手は蓮の腕を掴み、それを許さない。
「ちょっと待て、こら。」
無理やり蓮を俺の横に座らせて、肩を抱き寄せ、真っ赤な頬に口付けた。
「…何で…膝枕、してたんだ…?」
耳元でゆっくり熱を含ませて、吐息混じりに聞いてやれば、蓮は小さく震える。
「…ぁっ…、りょ…ぉ…」
それでも言おうとしないので、耳の中にフーッと息を吹きかけてみる。
「ぁっ…、やぁっ…。…君が座って寝ていたからっ…、隣に座ったら倒れてきて…」
「ホントか…?」
「本当だ!」
耳を刺激されて半泣きで睨んでくる蓮。どうやら本当みたいだ。
そういや、座ってた記憶しか無いしな。
「だとしたら、勿体無さすぎだよな。寝ててお前の膝枕堪能できてないし。」
「…な?!…もういいだろう?」
「駄目だ。お前だってまだしてたいだろ?昼休み終わるまでまだ時間もあることだしな。」
「…っ…!」
蓮の頬が桃のように染まる。
…俺はまだ、お前といたい。
この青い空の下で、お前の膝に寝転んで。
まだ2人で、幸せを噛み締めていたい。
その後蓮に再び膝枕をして貰って、
屋上にやって来た加地に屋上で膝枕の現場をばっちり目撃されてしまうなんて、
俺も蓮も、まだ知る由もなかった。
それでも蓮はすっと目を細めて、さまよわせた。
「…それは…、もしそうだとしても、俺の我が儘だ…。」
「だから、…我が儘も言えって。…恋人の我が儘なんて可愛いもんなんだから。」
蓮は俺の方を見て、それから小さく赤くなった。
「そうなのか…?…わかった。…なら、一つだけ…」
チラリと目線だけ俺を見上げて、唇を少し開けたり閉めたりした。
そして…、
「出来れば一緒に帰って欲しい…」
そう言って口を噤んだ。
そういや、最近クラスが行事のせいで忙しくて、蓮と一緒に帰れてなかった。
蓮のクラスは出し物無いらしいから、すぐに終わってしまって、待たせるのも悪いから先に帰ってもらっていたんだ。
「…けど、俺のクラス最終下校ギリギリまでやってるから…悪…」
「ヴァイオリンの練習をしながらなら、いくらでも待てる。」
真っ直ぐに澄んだ声、強い瞳。
ここまで言われて反対するのは野暮と言うものだろう。
…蓮が俺と帰るために、待っていてくれる。
嬉しくない筈がない。
「わかった、じゃあ待っててくれ。…終わったら迎えに行く。」
「…ああ。」
嬉しそうに微笑んだ蓮を見て、やっぱり寂しかったんだと思った。
そして、
一つ、蓮の望みを聞いてやれた俺は、はたと先ほどの自分を思い出した。
「蓮、…お前、さっき…膝まく…」
「梁。そろそろ昼休みが終わる。教室に戻らなければ。」
蓮はベンチから立ち上がろうとするが、俺の手は蓮の腕を掴み、それを許さない。
「ちょっと待て、こら。」
無理やり蓮を俺の横に座らせて、肩を抱き寄せ、真っ赤な頬に口付けた。
「…何で…膝枕、してたんだ…?」
耳元でゆっくり熱を含ませて、吐息混じりに聞いてやれば、蓮は小さく震える。
「…ぁっ…、りょ…ぉ…」
それでも言おうとしないので、耳の中にフーッと息を吹きかけてみる。
「ぁっ…、やぁっ…。…君が座って寝ていたからっ…、隣に座ったら倒れてきて…」
「ホントか…?」
「本当だ!」
耳を刺激されて半泣きで睨んでくる蓮。どうやら本当みたいだ。
そういや、座ってた記憶しか無いしな。
「だとしたら、勿体無さすぎだよな。寝ててお前の膝枕堪能できてないし。」
「…な?!…もういいだろう?」
「駄目だ。お前だってまだしてたいだろ?昼休み終わるまでまだ時間もあることだしな。」
「…っ…!」
蓮の頬が桃のように染まる。
…俺はまだ、お前といたい。
この青い空の下で、お前の膝に寝転んで。
まだ2人で、幸せを噛み締めていたい。
その後蓮に再び膝枕をして貰って、
屋上にやって来た加地に屋上で膝枕の現場をばっちり目撃されてしまうなんて、
俺も蓮も、まだ知る由もなかった。
