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Seiso〜トーク番組華麗なるscore

 2008-04-11

イライラする。
突然やって来た、あのいけ好かない感じの男。

昔、月森に感じていた、己を突き刺すような、憎むように全身で相手を攻撃するようなあの苛付きとはまた違う。

ムカムカ。
それが一番適当な気がする。胸に靄が掛かって、取っ払いたいのに出来ない、そんな感じだ。

あの男を庇い、イイ奴だという月森にも何だかムカついた。更に、仲良くしろと言われて、イライラが増した。

解っている。ゲストだとか事務所同士の交流だとか。俺だってそんなに喧嘩っ早いつもりもない。
けれど、友好を深めるべき立場だと頭で理解していても、心が拒絶していた。

月森の隣に並んで、スタジオに一緒に入って来たのを見た瞬間から。

入り口で、何だか無駄に偽善的な笑みを浮かべて話し掛ける男に、月森は全く警戒せず、微笑んだりしていて。

品があり、礼節さを持つ優しげな大人に、真面目な月森は好感度が上がってしまうんだろう。

だが、そうだとしても下心がありそうな笑みくらい、見分けてほしいもんだ。

現在本番が始まっていて、セットの裏で待機していても、俺はまだ腕組みをしたまま、行き場のない怒りが込み上げてきていた。


…しっかし…。
さっきはあの男の味方をする月森の言い方にカチンときたが、今思えば少しきつく当たってしまったかもしれない。

謝るタイミングを逃してそのままになってるが、『俺に指図するな』はさすがに言い過ぎたよな。
月森も訳が分からず綺麗な眉を歪ませていたし、あの男が気に入らないとしても月森につらく当たる必要はない。

あいつは俺にもっともなことを告げただけ。

責める理由はない。

ただ…、自分でもよくわからないが、あの男のことを口にする月森を見ているだけで、小さな棘が胸に痛みを走らせる。

もう本番は始まっていて、司会の柚木先輩と火原先輩が番組を進めている。俺は中央に大きな入り口付のセット裏で月森と、他の事務所のゲスト2人も俺らと少し離れて待機しているが、俺はむしゃくしゃしていて、不機嫌オーラを隠すこともせずに突っ立っていた。

まずいことはまずい。このままだと月森ともまともな会話ができない。トーク番組の時に限ってこんなことになるとは…

せっかくあんな気を使って接してきたんだ、こんなことで月森に嫌われたくはない。

やっぱり今、サラッと謝っとくか…

そう思って月森をちらっと視界に入れる。

すると、月色の瞳と視線が交わった。

少し揺れるその瞳は確かに俺を映していた。
けれど、俺の瞳を見た瞬間月森は眉を潜め、ツンと俺と反対側の方に顔を背けてしまう。

……傷つけた…、月森を…っ

俺は目を見開いて、空色の髪から床に視線を落とすことしかできなかった。

「それじゃーゲストを紹介するよ!えーと、Seisoからはとっても綺麗でクールな月森蓮君!」
「そして、ワイルド&パッション、土浦梁太郎くん!」

…なんだそりゃ。しっかし、こうやって聞くと月森と俺は本当に正反対な性格なんだな…

綺麗系と野性的、
冷静と情熱。

そりゃ反発もするか、と苦笑しながら月森と一緒にセット中央の入り口からスタジオに入る。

するとまだ顔出しただけなのに、黄色い歓声。

今日は一般客もスタジオ見学でトークを目の前で聞くことになる。

月森はよく、俺は話すのは得意じゃない、とそっぽを向いているが、俺だって苦手、というか出来れば避けたい。

だってな…

こういうところに来るのは大抵女子。そういう女子…というかファンにはSeisoルール的に、絶対にファンサービスが必要とされていた…。

「えっと〜、月森君何か一言!」

火原先輩が月森に促すのは、ファンに対しての何か気の利いた言葉。

客席は今日も満席で、いきなりのことに言葉を探す月森に、『つきもりくーん!』だの『かわい〜!』だの客席から声がかけられている。

月森もこういう女に囲まれるっつーか晒される状況が苦手だろう。

女じゃないとまた複雑な感じだが。

でもこいつならそのうち男性ファンもつきそうである意味怖い。

で、考えた挙げ句、月森から出てきた言葉は、

「…よろしく、お願いします。」

という、月森らしいシンプルな挨拶。
思わず、俺は月森に見つからないよう顔を逸らしてこっそり笑ってしまった。

…こんだけ悩んどいてそれかよ!

可愛い奴だ。…と思えるようになったのは、惚れたからこそだろう。
月森の挨拶で客席がまたキャーキャー騒ぎ、収まったタイミングを見計らって柚木先輩が俺に振ってくる。

「もっと肩の力を抜いて、土浦君みたいにお客さんに輝く笑顔を見せてあげなくちゃ、…ねぇ、土浦君?」
「…は?!」

…ちょっと待て。なんつー無茶なことを!

「まだまだトークに慣れていない月森くんにお手本を見せてあげてくれないかな?」
「なんで俺だけそんなレベル高いんですか!」


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