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〜Seiso〜 番外編 バレンタインは真心が大事。
2008-02-14
バレンタイン企画。
月森ちゃんも奮闘すればいいよって話です。
前編スタート〜。
君を好きになって、初めてのバレンタイン。
Seisoの事務所メンバーは男女問わずなんだかそわそわしている。
天羽さんは『みんなに配るからお返しよろしく』、と言っていた。
火原先輩は『沢山チョコ食べたいけど、今年はちょっと違うかな』、と悩みがちに笑っていた。
加地は『外国では男女関係なくプレゼントするんだから、僕から好きな人にチョコを作って贈るよ』、とさらりと言っているのを耳にした。
普通の高校に通っていたころから、俺は特に、そういう行事はあまり関わらないようにしていたが、
今年は初めて他人事ではないことに気づいて焦った。
男なのだから俺からあげるのは変だろうかと悩んでいたが、
加地の話でそんなこともないということが解り、俺はまた今度は別の悩みに襲われた。
関心…が無かったため、どんなものを渡したら良いのか、
チョコレートが一般的なのは知識として知っているが、何をどうしたらチョコを作るということが完成するのか、全くわからなかった。
いっそ、お菓子など作ったことのない俺の物を食べるより、市販の美味しい物を買ってあげた方が安心で確実で、彼も何かと変な心配をせずに良いのではないだろうか・・・?
悶々としていると、目の前を誰かの手のひらが上下した。
「月森ー?聞いてる?」
加地が困った顔で笑って、俺の視界の前で手を動かしていたのだ。
…いけない、打ち合わせの途中だった。
はっ、と顔を上げ、俺は加地にすまない、と謝罪する。
「大丈夫?で、今度のラブリーフェイスの企画は何にしようって話なんだけど。」
「結局ラブリーフェイスはまだ活動があるのか、それに驚いている。」
「まったくだよね、僕も再びそのユニット名使うことになるとは思わなかったよ。しかも企画考えろって・・・」
「それは俺たちがやるべきことなのか?もっと上の人間が・・」
「まぁ、まぁ、好きなことやらせてくれるって言うんだから、折角だし、やりたいことやろうよ。」
「そうだな・・・。」
俺はため息をつく。
そう言われても、なかなか番組の内容を考えることなど無いため、すぐに浮かばない。
「猫耳メイドやらチョコレート早食いやら色々やったけど・・・、チョコと言えば、・・・月森は好きな人とかいるの?」
「え?」
俺と土浦の関係が加地に知られているのかと、鼓動が五月蝿く鳴る。
「あ〜、ほら、そろそろバレンタインだからさ。世の乙女達も好きな人のために手作りチョコとか作らなきゃいけなくてそわそわしてる時だし、今回は手作りチョコとか作ってみるのはどうかな?」
「あ、あぁ・・・そうか・・・。手作り・・・チョコ?俺が・・・・君と?」
「うん!チャレンジしたことあるから、僕教えられるし、月森はテレビの前の女の子達が作るみたいに、実際に僕と一緒に作ってくれないかな?その方がアドバイスもしやすいと思うし。」
「・・・それなら俺でも・・・できるだろうか・・・・」
「できるよ!初心者でもできるような簡単なチョコを作ろう?手作りの方が絶対もらって嬉しいに決まってるし!」
加地は俺を見ながら微笑んだ。
俺は、加地の手作りの方が絶対にもらって嬉しい、と言う言葉に押された。
・・・・これで、彼に安心して食べてもらえるようなチョコが作れるかもしれない。
加地という先生も、番組でチョコを作ったから君に食べてもらう、という理由もできたのだ。
俺は、明日の収録が楽しみで仕方なくなった。
本番当日、今回は生放送というドキドキの状況で、俺は逃げることは不可能にされていた。
(逃げた前歴があるため)
別に今回は同じチョコレートでも、食べるわけではないので、逃げるつもりもなかったのだが。
そう思って本番直前のスタジオ横で台本を見ていると、加地が寄ってきた。
「調子はどう?月森。」
「大丈夫だ。今日は迷惑をかけないようにする。」
「あはは、気にしてないよ、あの時は無理やりでごめんね、土浦に怒られちゃった。それより、今日は月森も好きな人のために頑張るから、僕からプレゼント!」
そう言って、加地は極上の笑顔で俺に白い布のようなものを渡す。
「なっ、・・・俺は・・・好きな人がいるとは一言も・・・」
「まあまあまあ。広げてみて?」
俺がそれを目の前で広げると、肩も下の端の方も凄く無駄なくらいフリフリのフリルがついて、
胸のところの生地はハート型になっている、純白のエプロンだった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
俺の手の下に見事に広がった、見るからに女性物のエプロンを見て、
俺は脳内、身体の動き、共に停止する。
エプロンを眺めたまま動けない俺をよそに、横で加地がセーターをゴソゴソと脱ぎ出した。
「あ、月森も脱いでね。今回はロマン実行だからv」
加地はセーターと中に来ていた白いTシャツを、一緒に腕を交差させてまくりあげ、
服を頭のところまで上げて、んっ、と息を詰めながら、頭だけ先に首の穴に通して、服の下から俺にウインクを送る。
「ね?」
いきなり加地の肌を見ることになって、俺は自然に頬を染めた。
服を脱ぐこと一つとっても、加地は色っぽいと言う言葉が似合うと思った。
俺は脱いでもこんなに色気は出ないだろう。
・・・・・・。
悔しさを感じている場合ではない。
感じている俺にも驚いているが。
そう。俺も・・・・・脱がなければいけないのか!?
物凄い加地からのドッキリに、俺はまた現実逃避を考えたくなってしまったのだった。
本番に続く――。
