大変お待たせしました、初詣デートin鶴岡八幡宮〜その1

 2008-01-31
「いや・・・そろそろ一月終わるぞ・・・。レポート遅すぎだろ・・・しかも結局八幡宮に行くことになったし・・・」

「そうだな、申し訳ない・・・俺たちから代わりに謝ろう。」

「そだな、えー・・、大変お待たせしました。お待たせしてしまったお詫びに蓮のサービス写真も・・・」
「何の話だ梁!?」
「じょ、冗談だからそんな怒るなよ・・・。んじゃ、初詣レポート開始!!」



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コメント返しSS〜月夜の宴〜

 2008-01-30
はい、コメント有難う御座いますvv

今回はちと気合入ったパラレルでございますvvお楽しみください。

コメントは隠しておきましたー。







月夜の闇の中、白い城壁が浮かび上がる。

窓の縁に手をかけて、黒衣の騎士は微笑した。

甲冑や剣には銀の細工が美しく、凛々しく体格も良い騎士は頼もしさが漂う。

深い森の色を湛える髪、意志の強い琥珀色の瞳、健康的な色の肌。
そして戦いの厳しさと重さを知る戦士のオーラが騎士を包んでいた。

「いい月ですね。戦いの前夜の宴には持って来いだと思いませんか?月姫。」

青い輪ができている美しい光の満月を見上げていた騎士は、ゆっくりと後ろに立っている人物を振り返る。

振り返る騎士の動きに合わせ、黒いマントが翻る。
月明かりの逆光で、騎士は怪しげにも美しく、闇をも手玉に取るように浮かび上がった。


「リョウ。いつになったらその呼び名を止めてくれるんだ。」

暗闇の中に凛と鈴が鳴る様な声が響く。

騎士の見つめる先には銀色の流れるような衣をまとう、聖水の色を放つ髪を持つ者が不満そうに口を結んだ。

肌の色は雪のように白く、眼差しは凛々しく美しい。
月をはめ込んだような魅惑の色の瞳、きりりとした細い眉に、長い睫毛。
神秘的でいっそ神々しいほどの、白く輝く凛としたオーラを持っていた。
女と見まごう程の美貌だが、性別は男。

頭の上には何色にも輝くダイヤモンドの王冠が、乗っている。

この月姫と呼ばれた者は、白き城の王子であり、月のお告げを聞くことのできる唯一の者である。

そのため、月と心を交わす者である上に、この美貌なので、国の者からは月姫とも呼ばれていた。

「失礼いたしました、レン様。けれど、貴方様も私の事を、名前で呼んでくださる。」

黒衣の騎士はうやうやしく片手を胸に付けお辞儀し、目の前の白き君を見上げ、微笑む。

「・・・・止めてくれ。姫と呼ばれたくないだけだ。今日は戦いの前の君の勝利を願っての宴なのだから、他人行儀にしないで欲しい・・・」

「・・・了解。」

綺麗な顔に眉のしわを深くして、レンが騎士を見下ろしていると、騎士は屈託の無い笑顔で笑った。

「本当は・・・戦いの前の杯など、君がいなくなるようで嫌なんだが・・・」

月の御子は、白く細い指で近くの台に置いてあった二つの金の杯を持ち上げる。

両手に少し重みがかかる大き目の二つの杯のうち、一つをリョウに渡した。
金の杯には、透明な酒が並々と注がれていて、杯の内側が酒に透けて金色に輝いている。

リョウは杯を受け取り、二人一緒に天に金の杯を掲げた。

「そうでもしないと二人きりで会わせてもらえないだろ?レン。」

「ふ、そうだな。・・・・・・明日の戦いでも君の勝利を願って・・・。狩猟と純潔を司る月の女神アルテミスよ、この者と国に勝利と加護を与えたまえ、月の御子、レンの名の下に・・・乾杯!!」

「・・・乾杯!」

月の御子が月の女神に祈りを捧げ、二人同時に杯に口をつける。

並々あった酒をすべて飲み干すと、二人は笑った。

「・・・お前に月の加護を祈ってもらえれば、怖いもん無しだな。」

杯を台に置きながら、リョウは意気揚々と言う。

レンは、あぁ、と言いながらも杯を持ったままリョウとは対称的に表情を曇らせた。

「・・・・どうした?」

俯くレンに黒い背の布を翻してリョウは近づき、レンの目の前で止まる。

「・・・・・怖いんだ。・・・・いつもこの城で・・・、君の帰りを待つことしかできなくて・・・」

杯を握ったまま、レンは金色の杯を見つめる。

「・・・・・今回の戦いも、激しいものになるんだろう・・・?」

不安に押しつぶされそうになって瞳を閉じる月の御子の、杯を持った手に、騎士は黒いアーマーのついた自身の手を重ねる。

「・・・・それでも、・・・行ってお前やこの国を護りたいんだ。・・・・大丈夫。お前が待っていてくれるから・・・」

リョウの言葉にレンは顔を上げ、泣きそうになるのを堪えながら見つめる。

この国一番の剣の腕を持つ騎士を。

きっと最前線で戦うのだろう。一番の戦力なのだから。


リョウは不安そうなレンを見つめると、薄く笑った後、ふわりと黒い布を広げて月の御子の前に跪いた。

その腰に光る剣は、この者の戦士の証。

変わらぬ決意の表れ。

そっと騎士は御子の杯を持っていない白い左の手に、自分の右手をしたから添え、忠誠の口付けを落とす。

御子の頬は手に騎士の唇が触れると、薄桃色に色付いた。

「私の身も心も、とっくに貴方に捧げた。貴方のために使う命なら惜しくはありません。けれど貴方が私の勝利と帰還を望むならば、必ず叶えて御覧に入れます。・・・・・俺の愛しいアルテミス。」

最後の言葉でちらりと上げた騎士の視線を見た御子は、身も心も奪われているのは俺の方だ、とさらに頬を赤くした。

「必ず、帰って元気な顔を見せてくれ。・・・リョウ。」

「あぁ。もちろん。」

どちらともなく抱き合うと、密やかに唇を合わせる。

身分違いの叶わぬ恋ではあるが、誰に祝福されずとも、二人の世界は幸せだった。


月が見守る間だけの、束の間の逢瀬。


明日の運命など、誰にもわからない。

だから今は思いを込めて、貴方の無事を願って。

この唇に託そう。

この腕に抱かれていよう――








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〜Seiso〜終わりは始まり革命のロンド

 2008-01-30
閉ざしたほうが幸せだろうとしまい込んだ思い。

もう触れないつもりだった体。

もう見たくなかったお前の怯えた瞳。


俺から切り離して終わりにしておいて、

まだお前を守りたくて、助けたいと思ったなんておこがましいよな。


でも、例えあの人から逃れるための言い訳だったとしても、

お前が俺のそばがいいって言ってくれて、本当に嬉しかったんだ。


俺は俺も気づかないうちに、こんなにお前に惹かれていたんだな。


だからせめて俺のお前への本当の気持ちは、伝えておきたいんだ。

たとえお前が俺を受け入れてくれなくても、もう構わない。

俺はお前のためと言いながら、逃げてたんだろう。怖かったんだ。

俺の気持ちを本気でぶつけたときに、叶わない確率が高すぎて。

お前を思ってる自分も受け入れられなくて、

きちんと言葉にもせずに、お前と向き合おうともしなかった。

我ながら女々しいな。

だからもう逃げない。

自分からもお前からも。

本気でぶつかって玉砕すれば、きっとすっきりするよな。


俺はジャケットの上からお前を抱き締めて、はっきりと後ろから耳に届くように伝える。

「月森…、お前のこと…、なんとも思ってないって言ったが…、やっぱりあれ訂正する。…俺はお前のこと…本気で…、好きだ。」

月森にどんな風に届いたかわからないが、月森の肩がビクッと揺れた。

そして月森の体は小刻みに震えだす。

怒ってるのか、拒絶して怖がっているのかわからずに月森の顔を俺が覗きこもうとすると、月森の震えた声が聞こえた。

「…なっ…、何故…?…嘘…だったのか…?」

月森の言葉は痛い。

お前もきっと痛かったよな。

「……男に…しかも俺に言われてもお前が困るだけだとも思って…。それにお前が気にして仕事出来なくなって…、俺のせいだろうから、変に悩むより忘れて気にしない方がいいと思って…」
「君は…俺を…、好きなのか…?」

ぽかんとして、俺の方を振り返り聞き返してくる月森。

瞳を揺らして、もう一度俺の言葉に耳を傾けてくれる。

だから今度こそ、

伝えたかった思いー

ありったけの勇気…


またお前を傷つけることになってもー



「言い訳ばっかだな、悪い…。嘘ついてごめんな。沢山傷つけて…。でも…お前が好きなのは…嘘じゃないっ…」

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あわわわ(汗)

 2008-01-28

なんか拍手が少ないと思ったら・・・・

テンプレートが拍手を表示してくれてなかったよPC版!!!


ってわけで仕方なく変更です・・・・うぅぅぅ・・・

拍手してくださった方は携帯からですかねぇ・・・?


PC版の方お騒がせしました〜・・ガンガン拍手お待ちしてます〜・・・<(_ _)>

〜Seiso〜煌めく水面

 2008-01-28

なんて冷たくて
色の無い心

これが運命なら
恨む力も残っていない。

意志に関係無く
犯されていく躯に

もはや執着ももてずに
そっと瞳を閉じる。


どうせ救いなんて無い

道に迷った俺は

誰も探しに来てはくれない。


ただ、汚れた躯では
もう君に思いさえ伝えられないことだけが

唯一の心残りだった――



「月森!…柚木先輩…!?なにしてっ…」


遠くから叫び声が聞こえた。

酷く怒った、彼の声に似ている。

俺は幻聴さえ聞こえるようになったのかと、ゆっくりと瞳を開ける。

「何やってんですか!?呼ばれたから来てみたら…、月森嫌がってんじゃないですか!!」

「ちっ、土浦…。まだうろうろしてたのか。」

廊下を、こちらに向かって凄い剣幕で走って来た土浦が、柚木先輩にくってかかっている。

柚木先輩は俺を捕まえたまま、舌打ちをして顔だけを土浦に向け、牽制する。

俺は何が起きたのかよくわからなくて、思考が停止しているようだ。

土浦と柚木先輩の言い争いを、他人事のように聞いていた。

「よく月森くんに好きでも何でもないと言っておきながら、のこのこ出てくるね。気の迷いで手を出そうとしたんなら、僕と何が違うんだい?君に止める権利はないよ。」

「くっ…、それは…」

言い切る柚木先輩に、土浦は返すことができなくなる。

眉根を寄せて、とても悔しそうだ。


…何故…君はここにいる…?

…俺のためにそんな顔をしているのか…?

…俺を…助けに来てくれたのか…?

俺は君を傷つけたのに…
君を…

…土浦…

…つちうら…!

「つち…、う、ら…!」


俺は夢中で手を伸ばした。

君を呼ぶ声は情けなく掠れていて、

ただ、もう側には来てくれないと思った君が

こんなに近くにいることが嬉しくて。

「つちうらぁっ…!!」

彼のところに行きたくて、柚木先輩に抑えられている腕や脚を必死に動かした。

…俺はっ…、君のところに行きたいんだっ…!

俺はきっとひどい顔をしているだろう。けれど今はそんなことはどうでもよかった。

「うるさいよ。さっきは土浦君に泣かされてただろう?また泣かされたいのかい?」

柚木先輩はさらりと垂れる前髪をそのままに、俺を拘束する力を強めながら冷たく言う。

「……構わない!俺は土浦の…、そばに…いたい…!」

「っ…、月森…。」

俺の渾身の思いは、君に届くだろうか。

〜Seiso〜煌めく水面 の続きを読む

昨日からかな?

 2008-01-26

携帯版にも拍手がついたんですね〜

これで携帯からしか見られない方も拍手していただけますね!(笑)

拍手は本当に皆さんの反応を見るのに役立ってます。

Seisoシリーズは沢山押してもらって、あぁ、皆さん楽しみにしてくださってるんだな〜と思ってますvv

うわわわ!Seiso注意報〜

 2008-01-26

ヤバい。一連の流れでSeisoの柚木様が鬼畜暴走を起こして、あっと言う間に15禁手前まで来てました…

危ないよ!ゆのキングヤバいよ!(笑)

さてさて次回どうなるかはお楽しみ。

基本は土月だから…その辺はご安心を。

ただ寄り道で初柚月ですかΣ(@_@)

初だったか…、意外だ…

〜Seiso〜絶望の底に眠る優しさ

 2008-01-26
突然の口付け、そして告白。

柚木先輩の急変した態度に、驚いた俺は涙が止まったほどだった。

「俺のものになれ。どうせ他に誰かを好きになる予定なんかないんだろ?」

柚木先輩は俺の唇を無理やり指で開き、舌を入れてくる。

びくんと俺の体は拒絶反応を起こした。

口付けは何の味もしない。

嬉しくもなんともなかった。

そこで初めて気づく。

…俺は嬉しい口付けを知っていた…?


俺が舌を避けるように動かしていると、思い通りにならない俺が気に入らなかったのか、柚木先輩は唇を離して俺のシャツの前を無理やり開けた。
ビリッと音がして、薄い水色のシャツが破けていく。

俺は胸と左の肩を露わにされて、信じられないという目をしながら柚木先輩を見つめることしかできない。

言葉も出ない。

俺はどうなってしまうんだろうか…

…怖い…

そう思っていると柚木先輩は、俺の両腕を上に上げて拘束させている手に力を込める。

痛みに顔をしかめると、ぬるりとした柔らかい感触が左の胸に感じられた。

「あんっ…」

気持ちが悪いむずむすするような感覚が這い上がってきて、俺は怯える。

「止めてください…!こんなこと…っ」

顔を左右に振って願ってみるが、柚木先輩は聞き入れてくれずに俺の鎖骨辺りに吸い付いた。

「いたっ…」

鈍い痛みが走り、赤い痣がつく。

「お前が綺麗でなくなる烙印だぜ。」

悪魔のような笑みでそう言われ、俺は悲しくてたまらなくなった。

望んでいない。こんなこと。

「なんて顔してるんだ。」

柚木先輩は俺の顎を強く掴んで、視線を合わせる。

「何故こんなに無理やり…」

眉をひそめ俺は真っ直ぐに見つめた。

「ふん、お前が良い顔するからに決まってるだろ?…怯えて嫌がる顔が、快楽に溺れて泣き叫ぶように変わる瞬間が…見たいだけだ。」

柚木先輩は至極楽しそうにゆっくりと笑う。

「どうせお前は無理やりだろうとやっていいか聞かれようと、どちらにしろ拒むんだろう?なら、無理やりの方が早くて良いじゃないか。」

…そんな。

俺の意志は全く無視なのか…?

彼は聞いてくれたのに…

…あれは…優しさ…?

彼の…

俺が考えごとをしているうちに、柚木先輩の指は俺の首から胸を伝い、ゆっくりと下へと下がっていく。

身の危険を感じて、俺がじたばたと体を揺すって抵抗すると、嘲笑った声が向けられる。

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バレンタインも近いですしね。

 2008-01-25

テンプレートをバレンタイン使用。

前のチョコだとちょっと落ち着かないので・・・

赤い糸でハートってなんだかとってもロマンチックだよね!by加地風


ってなわけでバレンタインまでこんな感じ。

サイトも拍手のSSをUPしようと思ってます。
あと微妙に消化できてる御題も。

サイト拍手コメントSSへのお礼〜vv

 2008-01-25
ブログ拍手コメントだけでなく、サイトの拍手コメントにもお礼SSをつけてみました。

短いですが、土浦の月森への愛が詰まってます。

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サイトのWeb拍手ありがとうございますvvv

 2008-01-24
Web拍手、サイトの方のコメントに返しますねvv

あ、BGMに別れの曲と、・・・・蓮ちゃんのあの曲を!!UPしましたよvv

よかったらこっそり流しながら小説見てみてくださいvv

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秘密の心(後編)

 2008-01-23
咳ききったように話を始めた土浦の話の内容に、俺はなんと返せばいいのかよくわからなかった。

ただ、彼の思いは聞いてあげたい、そう思った。

「…籠なんかに閉じ込められて…、自由に生きられたらもっと幸せだったかもな…。」

苦しそうに屈んで強く目を閉じ、悔やむように話す土浦に、俺は練習室の中に入って、できるだけ気を使った声で話す。

「…俺がもしそのインコだったなら、君や君の御家族に世話をしてもらい、相手をしてもらって、…幸せだったと思う。…君のピアノも弾かせてもらって…」

俺の話の途中で、土浦は急に声を荒げた。

「…あの日…、アイツが脱走してピアノの上歩いてて…、俺は鍵盤に傷が付くからって俺はアイツを思いっきり怒鳴って籠にぶち込んだんだ…!…そのせいで弱ったんじゃないかって…。俺がっ…、」

土浦がバンとすごい音を立ててグランドピアノの開いていない上部を叩く。

「俺が…怒鳴ったり乱暴に籠に閉じこめたから…」

俺は驚いて土浦の側に駆け寄った。

「楽器に当たるなんて…、止めてくれ…!」

楽器には罪はない。土浦らしくない行動に俺は慌てた。

乱れた土浦の心を落ち着かせようと近くに寄ると、彼は俺を見るなり腕を引っ張ってきて、痛いくらいに力を入れられて抱きしめられた。

「…楽器なんか優先したから…生きてるアイツの楽しみ奪っちまって…。また狭くて嫌な鳥籠の中に入れられて…。俺があんなことしなければっ…!」

「…すまない…土浦。辛いことを思い出させてしまったな…」

俺は耳元で聞こえる初めて聞く彼の震えた声に、地雷を踏んでしまった自分が情けなく思えた。

こんな時に彼を追い詰めてしまうなんて。

俺の片口に目元を押し付ける土浦の髪を撫でながら、俺はもう片方の腕を彼の背にまわす。

俺に弱さを見せてくれる君は初めてだ。

俺が支えられるものなら支えたい。

「…土浦。インコの歳はいくつだったんだ…?」

「…インコにしちゃ長生きだったが…」

「そうか、…なら君のせいではない。寿命だったんだろう…。…君にそんなに思われて、インコはきっと幸せだっただろうな。」


土浦の気持ちを思いやれば、俺の声は自然に優しくなっていた。

土浦の少し硬い深緑色の髪を撫でて、俺は口元を緩める。

「…月森…」

ぎゅっと俺に抱きついてきて、甘えてくる土浦が不謹慎にもかわいいと感じる。

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秘密の心(前編)

 2008-01-23


約束の練習室。

俺は君と音を合わせるために、放課後一緒に練習する部屋の前にいた。

ドアのガラスの部分から中を覗けば、土浦がピアノに向かっているのが見えた。

一心不乱にピアノを奏でる姿は、いつもの悪戯な笑みや、近寄ってきた女子を威嚇する顔、俺が初めて見たときから好きだと思った、俺に向かって首を少し傾げて、人懐こく笑う仕草のどれとも違うもの。

ピアノと一対一で対話する土浦は、一人の芸術家の顔をしている。

自分の話をしているのかもしれないし、作曲家の意向を汲み取ろうとしているのかもしれない。

少し曲を聴きたくて、軽くノックをしてドアをわずかに開ける。

やはり土浦はその集中力によって気づかない。

邪魔をする気はないので、俺はドアの外でそっとそのまま耳を傾けた。


別れの曲。

しっとりとして物悲しいかと思えば、優しくて暖かい曲。

彼は何を思って弾くのだろうか。

瞳を閉じて、少し眉根を寄せる土浦の旋律は所々に憂いを帯びていた。

愁情を表す曲が得意な彼ではあるが、曲を聴くうちにいつもの感情露わという演奏ではないことに俺は気づく。

感情を抑えて、優しい音で隠している気がする。
だから余計に悲しい音に聞こえるんだろう。

…何かあったのだろうか…?

そんな音を出す土浦が心配になり、俺は聞くべきかどうか迷う。

これから一緒に練習するのに余計な波風を立たせないほうがいいかもしれないが…。

…だが、君に何かあったのかと心配になる…

自分でも無意識に俺の眉間のしわが深く刻まれる。

引きずるように優しく悲しい音が耳に残り、曲は終わった。

少し深呼吸をして練習室の頑丈な扉を開くと、土浦は下を向いたままだった。

なんて声をかければいいのか悩んでいると、ぱっと土浦はこちらを見て笑う。

「月森か。遅かったな。」

俺は土浦が思いの外明るい声で少し安心した。

…やはり気のせいだったのか…?

「気になる音だったから心配したが…、思い過ごしだっただろうか。」

俺も安心したのと土浦につられたので少し薄く笑い返すと、土浦は驚いたように目を丸くした。

そして一瞬、息を詰まらせて真剣な顔で俺を凝視する。

何だろうと疑問に思っていると、土浦が口を開いた。

「…聴いてたのかよ…。やっぱりお前には解っちまうんだな…。」

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〜Seiso〜迷走のcanon

 2008-01-22
「柚木…先輩…」

俺は一瞬、迷った。

この人は…俺に手を出した人。

けれど、俺が迷っている間に、俺は柚木先輩に引き寄せられて腕の中にいた。

ふわりとした肌触りの柚木先輩の服。藤の香が俺の鼻をくすぐる。

我慢できずに瞳を閉じると、ポロポロと大粒の涙がこぼれていくのがわかった。

「月森くん…、ここだと人目に付くから、…そちらの陰に行こうか。」

柚木先輩は優しく俺を抱きしめ、俺の頭を撫でながら、少し考えてそう言った。

柚木先輩の声は俺を気遣って優しい。

人前で泣くことなどもう何年もなかったが、俺は今、溢れてくる涙に抵抗できなくなっていた。

柚木先輩の腕に包まれたことで、尚更涙が止まらなくなってしまったことに気づく。

優しくされるとかえってこの様な結果になるので、人にはなるべく甘えたりしないようにしていたのだが。

今の俺は…情けなくて

弱い。


柚木先輩に導かれ、俺と柚木先輩は柱の陰に身を隠す。

ここなら向こうから誰かが廊下を見渡しても、すぐには見つからないだろう。

涙が枯れずに止めどなく流れたままだったので、確かに人には見られたくない状況だった。


…今更だが、他人に相談できる内容ではないかもしれない…。

せり上がる泣き声を堪えながら、ふと土浦との出来事を思い出し俺は眉をひそめる。

自分でも悩んでいる原因がよくわからないのに、他人が解決できるだろうか…。

柚木先輩はそんな俺を見て、ゆっくり俺に問いかけた。

「何故、月森くんは泣いているのかな…、って聞いてもいいかな?」

柚木先輩は俺の顔を覗き込んで、紫に光る長い黒髪をさらさらと揺らしながら、少し首を傾げる。
真剣に聞いてくれる柚木先輩の様子に、俺は少し話してみようと思った。

「何故…。」

何故だろうか。土浦に…
「土浦に、お前のことは好きでもなんでもない。気まぐれで手を出しただけだと言われて…」

俺は痛みの引き金になった言葉をそのまま伝える。

口にすると、なんだかとても悲しいような悔しいような気分になってしまい、申し訳ないけれど柚木先輩の胸を借りることにした。

「……。手を出されてしまったんだ?」

柚木先輩は驚いた顔をしながら、俺に確認してくる。

「…いいえ、未遂ですが…、許せないんだと思います。彼が遊びで人をそんな風に扱う人間だとは思わなかったので…。」
思い出した俺は、目を伏せて苛立ちを感じる。

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ごめんなさい

 2008-01-18
ちょっと私が忙しいことになったので、3日くらい更新は滞るかと思われます。

が、それを乗り切ったら元気に再開したいと思うので、皆さん見放さないでやって下さい。m(_ _)m

早速♪

 2008-01-17

BGM更新してみました〜!

まだまだ更新予定の曲いっぱいなので、楽しみにしててください。

とりあえず土月曲は上げたよ!(笑)

いくつでも追加できるみたいなので、楽しみですね〜

音小さめのオルゴールなら背後も気にならないですね!(爆)


拍手いただいてるってことは、気に入ってくださった方いるんですね?

嬉しいです!

なんと!

 2008-01-16
というかやっとと言うか。

ブログに音楽流れるようにしました〜

そのうちあの曲やあの曲なんかを聞きながら皆さんに小説を楽しんでもらいたいかな〜と思ってます。

ピアノ版はちょいと賑やかですが、ほとんどオルゴールやハープなどの小さめで邪魔にならないものを探しました。

オルゴール無かったのは仕方なくピアノです。

そのうちアップします。
しかしヴァイオリン曲はなかなかないですね〜

音楽は流そうと思わなければ勝手に流れたりしないみたいなので、いきなり音出てびっくりってことはないみたいです。

気が向いたら流してみてください〜

〜Seiso〜漆黒の剣

 2008-01-16
ひとつ歯車が狂ってしまえば、どんどんいろいろな部分に歪みが出る。

思いのほか演技に身が入らなくて、俺はどうしようもないドツボにはまっていた。

「俺達は俺達の道を行けばいい。信じた道なら貫ける筈だ。」

スーツに身を包んだ土浦は、俺の手をとる。

ここは俺の役は決死の思いで仲間よりも好きな人を選ぶシーンだ。

けれど。

この前のように土浦の仕草や言葉が響かない。

俺に迷いがあるからだろうか、彼の体温はきりきりと俺の肺を締め付けた。

何故君は…俺を…


そう考えながらも、もう覚えている台詞は自然に口から滑り出る。

「ああ。俺は…君だけを信じている…」

だから君に命を渡そう、そう続くはずの台詞が胸につかえた。
息苦しい。


信じている?誰を?

俺は君がもうわからない…。


次の言葉が口から出ないでいると、天羽さんから声がかかった。

「カーット!…どうしたの?月森くん。台詞が全部棒読みだよ?!…どこか具合悪い?」

俺は…

「すまない…。感情が乗らなくて…」

どこを見ているのか自分でも曖昧な状態で、心は虚ろなまま答えた。

「月森…?」

土浦も俺の名を呼んでいたが、顔を見ることはできない。


結局、あまりに俺が演技に身が入らないために、撮影は一時中断になってしまった。



どうにかしたい。

心の靄を晴らしたい。

けれど何のピースが外れているのかさえ、わからなくなっていた。



スタジオの廊下で紅茶を飲んでいると、土浦に突然声をかけられた。

真剣な表情の彼に、こちらも背筋を正す。

「あのさ…、お前を…その、…抱いてもいいかって聞いたことあったが…」

土浦は、眉間に深くしわを刻みながら話し始める。

俺は、避けたい話題だったため、逃げ出したくなったが、その気持ちを抑えながら話を聞いた。

「あれ、…もう忘れてくれ。俺はお前のこと何とも思ってないから。」

その言葉に、心臓が握り潰されるように感じて。

痛い。痛い。

なにかが悲鳴をあげている。

「君はなんとも思わなくて、俺を抱きたいと思ったのか?!」

俺がそう叫ぶと、君は少し下を向いて、押し殺した声で答える。

「…気の迷いだ。その場の空気に流されただけで…、お前のことは好きでも何でもない。」

土浦の断言するその言葉を聞いて、

俺は、胸の鳩尾のあたりに、太く大きな長剣が深く鋭く突き刺さったような気がした。

〜Seiso〜漆黒の剣 の続きを読む

拍手コメント返し〜SSvvです。感謝です!!

 2008-01-16
ありがとうございますvv

本当に。

久しぶりにサイト更新しました。

サイトって言うかサイトの拍手SSを3本新しいのUPしました。


そちらも良かったら探してみてくださいvv

初詣のレポートに繋がるSSもあるので、お楽しみください。


拍手コメント返し〜SSvvです。感謝です!! の続きを読む

〜Seiso〜迷宮のrhapsody

 2008-01-12
――やがて尽きる命ならこの身を貴方に捧げよう

金の月が昇る夜
貴方が欲しいと望むなら
どうせ一度の命なら
綺麗でなくてよいのなら

愛しい貴方と過ごす夜
身も心も捧げよう――


悲しげで優しい音色を最後まで歌い上げ、俺はマイクを下ろした。

ドラマ『禁断のダイヤモンド』での挿入歌は俺の歌を入れることになった。

このドラマで彼との恋人期間が始まり、このドラマが撮り終わると同時に恋人期間は終了という約束だ。

ドラマはもう終盤。

俺の歌は俺の役がすべてを捨てて土浦の役についていくことを決心するときに流れるらしい。

ーやがて尽きる命なら

貴方が欲しいと望むならー

歌い終わった歌詞が頭の中をリピートする。

俺は、役ではないのに俺を欲しいと望んだ彼を拒んだ。

彼の真意がわからなかったから。

気の迷いなのかと。
柚木先輩のように遊びなのかと。

…俺の困る顔がそんなに見たいのか…?

あの時、君に欲しいと言われて、柚木先輩に襲われたときの恐怖が蘇ってきた。

怖くて嫌で苦しくて

俺の自由は奪われ、それを楽しんでいるあの人が憎くて怖かった。


君も俺をそんな目にあわせたいのか…?

そんなに俺が嫌いなのか…?

わからない。

何故彼が俺を好きにしようと思ったのか…

この歌のように身を任せたら何かわかったのだろうか。

けれど、それにはあまりにも君の心は見えなくて。

どうしたらいい、次に君に会うときにどんな顔をして会えばいい…

…怖い…


俺は両手で顔を覆い隠し、暗い迷宮をさまよっていた。



〜Seiso〜悲しみのnocturne

 2008-01-12
甘い罠から繋がっております。

突撃シリーズですね。

読んでいない方はそちらから〜



〜Seiso〜悲しみのnocturne の続きを読む

ぐはあ!!!

 2008-01-12

テレビつけたらチャー●ーとチョコレート工房日本語吹き替え版が、テレビ版でリメイクされてて、

チャーリー(あ゛、言っちゃった)宮野さんになってたよ!!!!

加地っこがチャーリーやってんよ!!!!

『あっは、うふふふっ・・・』

って笑ってんよ加地の声で!!!(大笑)

映画版DVDで見たときはチャーリー違う人の声だったのに!!

駄目だ!!加地にしか聞こえねぇ!!!


ついでに母親が懐かしいコルダ1の月森珠玉を終わらせてたんですけど、

例のあの爽やか過ぎる笑顔(バックは何故か爽やかな青空)

と、ラストアニメの台詞。

『俺は、練習室で待っている。だが、君はゆっくり来ていい。練習室は音楽科からは近いが、普通科からは遠いから。俺は君を待つ時間が嫌いではないということを、君は知らないかもしれないが。』

(はっ、相変わらず歯がゆくなるような、苛めたくなるようなこと言ってんなぁ・・・・/←愛ゆえに何故か土浦視点)



ラストの呉さんのイラスト表示される。


上ずった爽やかな甘いきーやんの声で。


『君が――好きだよ。』







・・・・・・・・

好きだよ・・・

好きだよ・・・

すきだよ・・・


(燈翔の脳内でエコー)


好きだ・・・・・、・・・・・よ!?Σ(^_^;)




「・・・ぶはぁ・・・!!!!」(燈翔、可笑しさのあまり思わず噴く)



『よ』ってなんだ、月森! 好きだ よ って!!

どこの爽やか青年だよ!!大爆笑しちゃったよ!!!



月森か?!お前は月森だよな!?


月森は・・・・爽やか青年だったのか・・・・



一通り爆笑した私は、月森の新しい部分を見たような、寧ろ惚れ直したぐらいの感じでした。


加地もびっくりだよ月森・・・・!!

〜Seiso〜突撃!チョコレートは甘い罠

 2008-01-11
うわっ・・・・甘そ〜ですね。

テンプレ新しくっつーか、Seiso突撃!シリーズで月森さんがチョコレートに苛められてたので、皆さんにもその気分を味わっていただこうと思いまして。

チャー●ーとチョコレートなんたらみたいですよね。

ちょっとの期間、月森ちゃん気分で。

しかもこれで突撃シリーズ読んでみたりしてください。(笑)


管理人もチョコレート好きなんですが、あの話を書いたときは馬鹿食いしてました(笑)

ビターもホワイトもいいですが、ミルクチョコがいいなぁ。


そして、ちょっと突撃ネタ、引きずってみたり。


SS置いてきます〜。

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分家と言いつつも

 2008-01-11

サイトが更新滞ってるせいでブログがメインで小説書いてませんか最近(笑)

大元のサイトに来た人、全員ブログに直行とかそんな感じなんでしょうか・・・(苦笑)

ごめんなさい。今週を・・・今週を乗り切ったら私は晴れて・・・・!!


キリリクも、もう少し時間ください、・・・

初詣レポートもしたい・・!!

やりたいことがいっぱいあるのにっ・・・

くぅっ・・・


コメント返し&お礼SSですvvありがとうございますvv

 2008-01-10
いつもいつもありがとうございます〜。

土月パワーをネオロマ秋のDVDを見ながら補充して、お礼SSとさせていただきます〜vv

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〜Seiso〜突撃!隣のストレス発散法

 2008-01-10
突撃!楽屋〜からの続きですv

軽いもんで終わらなかったのでエロくなったぞv


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〜Seiso〜突撃!アイドルの楽屋

 2008-01-10
「すまない、追われているんだ。かくまってほしい。」

バタンと音を立てて俺の楽屋に突然の来訪者。

「・・・は?」

何事かとそちらを見れば、月森が荒い息で立っていた。

俺は壁につけてある鏡やライトや台を前に椅子に座っていたんだが。

俺らはこの鏡や台を使って軽いメイクやヘアーセットをする。

で、台本読みながらぼーっとしてた俺だが、月森が急に入って来たのだ。


月森は必死に走ってきたのか、はぁはぁと胸を上下させ、息が上がっている。

気のせいか、目元も潤んでいて、赤い。


・・・・・・・・いや、別に俺は何とも思ってないぞ?

別に・・・・月森がどんな状態だろうと俺には関係ないが、何だか尋常ではないのは解った。


何事だろうと見ていると、苦虫を噛み潰したような表情になった月森が、言いにくそうに喋りだした。

「…加地が来る前に、部屋に…隠れさせてほしい。」


俺は正直、驚いた。


・・・あの月森が俺に頼んでくるなんて・・・・


よっぽどの切羽詰まっている状況のようだ。

理由も聞きたいが、外の足音を気にしている月森にそんな時間はないだろう。


なんで俺の楽屋にくるかな・・・・


俺は眉間にしわをよせながらも、仕方なく首を縦に振り許可する。
そこまで俺も狭い人間じゃない。


すると月森はキョロキョロした後、すぐに誰でも調べそうな衣装のロッカーに入ろうとした。



さすがにそれは。

「おい、ちょっとこっち来い。」








数十秒後、加地が慌ただしくやってきた。

俺は鏡に向かって座っており、顔だけそちらに向ける。

「土浦!月森見なかった?!」

「見てないが…どうした?」

「月森、僕と一緒に番組でチョコの大食い対決してたんだけど、二回戦やろっか?って僕が言ったら逃げちゃって…、まだリハなのに…」

そりゃ逃げるだろ、と苦笑しながら、俺は加地の様子を眺めた。

加地は俺の楽屋をくまなく探し始める。


・・・・信じてねぇし。

まあ、気の済むまで調べさせたら2度は来ないか。


俺は何事だという顔の下で、そう思った。


加地は手早く調べまわる。

長椅子の下、荷物の後ろ、そして先ほど月森が手をかけたロッカー。

すべてのロッカーをバタンバタンと凄い勢いで開けていった。


…あぶねー…


そう思いながら俺は下を向いて作業をした。


「月森はチョコどれだけ食ったんだ?」


加地は俺の真横に来た。作業しながら聞いてみる。


「三種類入ってるチョコ一袋全部を食べきる競技。一種類十五個入り。」

「四十五個か…、あいつ甘いの苦手じゃなかったか?」

「そっか・・・どうりで途中でギブアップしたわけだね。僕は全然大丈夫だけど。」


加地はけろりとそう言いながら、俺の手元を見て、さり気なく目を光らせる。


「土浦、それなに?」


俺の手元には針と糸と黒い俺のコートの片方の袖。コートの大部分は膝にかかっていた。


「コートの袖口のミシン糸が解れてきたから、手縫いで直そうと思って。」

「ふ〜ん、器用だね、土浦。」

微妙な張り詰めた空気が流れる。

俺がチクチク針を動かしていると、針が加地から遠退いた瞬間に、

加地がガバッと俺の膝と台との間に出来た隙間を覗いた。


「!!?」


いきなり加地の頭が降ってきて、俺は血の気がさっと引くのがわかる。


「何考えてんだよお前!針使ってんだぞ!!」


本気で加地を咎めると、さすがに加地の方もマズいと思ったのか、たじろいで身を引いた。

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拍手お礼vvですよ〜(SS)

 2008-01-09
ブログ拍手コメントたくさんいただいてました・・・。ありがとうございます〜!!

お礼のSeisoシリーズSSあげていきたいと思います〜。

あのお話の土浦版では、こんな裏があったんですというお話。


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意外と不自由なこの空間(吉加)

 2008-01-08
流れる景色、爽快な高速道路。

物語のお姫様のように攫われて、僕は今、黒馬の王子様と現実逃避中。

あぁ、どうしよう。何もかもが素敵だ。

車のエンジン音も、飛ぶように流れる景色も、隣の貴方の運転する腕も、道路とたまに景色を楽しむ貴方の真っ直ぐな瞳も。

ぞくぞくするような大人っぽいガーネット。

駄目だ、熱があるように僕の頭が溶けてくる。

抱きついてしまいたい…、運転中なのは解っているけど。

さっき遊んでもらったばかりだけど。

確認するように自分の開いた胸元を見ると、これでもかと散った花びらの痕。さっきまでの映像がふわりとフラッシュバックする。

押し倒された力強い腕、色っぽく熱っぽいガーネット、激しいキス、熱い唇。

「んっ…」

思わず思い出して身を震わせた。身体の芯にまた火がついたよう。

横の暁彦さんが盛大な溜息をついて、明らかに怒った声で言った。

「盛りの付いた猫をドライブに誘ったつもりはないが。」

変換。

何一人で盛り上がっているんだ。今私は手が離せないんだから誘うのは止めなさい――

かな。ふふっ…暁彦さんのトゲトゲしさは衝動を抑えている時が多いんだよね。

柔らかく笑って、僕はちゃんと解ってますよ、とアピールする。

「あはは…、変な声出してごめんなさい。…抱きついてしまいたいと思って…、さっきのこと思い出しちゃいました。」

暁彦さんは少し押し黙って、やっぱりズバッと切る。

「それで?それを私に聞かせて、どうするつもりだ。」

あはは…、言い方キツいのに、僕を触れないって苛立ちが言葉に表れちゃってるよ暁彦さん…。

「抱きつきたいけど、出来ないので、せめて気持ちだけでも伝えようと思って。……僕、今とっても幸せです。」

「…また唐突だな。」


貴方にこんなに愛されて。

何か見落としていて、本当はそんなに愛されていないとしても、

僕のただの幻想でも、

僕はとっても幸せです。
愛してもらえて、車にも乗せてもらって。

どこの国のお姫様より幸せです。


「葵」

耳元で愛しい声がして、我に返る。

一瞬の間だけ暁彦さんが僕のすぐ近くまで顔を寄せていた。

「あ、ごめんなさい、何度か呼ばれてましたか…?」

慌てて謝ってみるが。暁彦さんを好きになってからは、度々自分の世界が怖いと思う。

「勝手に自己完結するんじゃない。」

僕の失態には触れない暁彦さんは優しい。

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波間に輝く君の音(吉加)

 2008-01-08
車を飛ばす海岸線。
白い波と光る水平線と、珍しく渋滞のない道路に気を良くして、私は運転席の窓を開け、左肘をついた。

直線道路の運転は片手で十分。波の音に耳を傾けると、どこからか弦の音がした。

私はすぐに近くに臨海公園があったことに気付く。

そのまま飛ばそうか考えたが、音色がやけに甘ったるい。

私は一人溜息を付き、右折のウインカーを出して公園の駐車場に入った。



駐車場の小石を踏みながら、車のロックと同時に歩き出す。

練習か。当然だな、コンクールも近い。

公園に入り、海を見渡せる場所に足を運ぶと、予想した通り金の髪がふわりと舞っていた。

柔らかで華やかで、繊細な音色。今日は調子が良いようだ。アイネ・クライネ・ナハトムジーク。

君は君らしい甘やかで人に好かれる賑やかな音を出すのに、当の本人はそれを良しとしないらしい。
まあ、よくあることだ。理想と自分自身の持ち味の違いがその人間を苦しめる。芸術家は誰しもその道を通るのかもしれない。

…私もよく、姉の音に憧れたものだ。

思いを馳せていると、曲は終焉を迎え、私は手を叩いた。

「…暁彦さん?!」

私を見つけるなり目を輝かせる君。驚きと感動と、ころころ表情を変える君に、つい笑みを漏らした。口元を手で隠し軽く咳払いする。

「休日も練習に励んでいるようだな。この前よりは聞けるようになっていた。まぁ、当然のことではあるだろうが。」

強めに言ってはみたが、やはり正面からは取っていないようだ。

「暁彦さんっ…、本当ですか…?嬉しいな…。あ、何故ここに?まさか僕に会いに…?」

「偶然だ。気分転換にここに寄ったまでのこと…。君に会いに来たわけではない。」

これ以上喜ばせることもあるまい。既に花が飛んでいるようにふわふわとした締まりの無い顔になっているので、私は真実は隠しておいた。

「あははっ…。何ムキになってるんですか?暁彦さん…。………え、もしかして本当に…?」

しまった、何も言わないべきだったか。人の感情…特に偽りには敏感に反応するこの衆議院の一人息子に見抜かれ、やはり来たのは間違いだったときびすを返す。

「あ、待って…暁彦さんっ…」

悲しげな必死の声を出して、慌ててヴィオラを仕舞う君。

少し胸が痛んだが、放置して車へと向かった。

運転席のドアに手をかけたとき、背後から強く抱きつかれる。

後ろの君の息は荒い。走ってきたのか。

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