お前がいるなら

 2009-07-20
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お前は本当に、賑やかな場所が好きだね。

夏祭り、なんてお前に誘われなければ、絶対に来ないのに。

煩わしい人混み、
五月蝿い雑音。

その中で、
いつも以上に喜んで、
駆け回る…まるで子犬。

子供っぽい無邪気な笑顔に、どうして俺が逆らえるだろう。

「ねえ!梓馬梓馬!くじやろうよ、くじ!!」

「くじ?…欲しいものでもあるのか?」

俺が興味なさげに返すと、和樹は紐の先にオモチャが付いているくじに、興味津々だった。

「あ、……えーと…、あれ…欲しくなっちゃって…、なんか可愛くない?あれ!」

少し決まりが悪そうに答える和樹。
指差した狙いは、トランペット型のガムが入ったオモチャだった。

(確かにこいつが持ったら可愛い…が。)

俺は顎に手を当てて思案する。

「いいよ、協力しても。」

俺が和樹に微笑んで言うと、子犬は尻尾をちぎれんばかりに振ってよろこんだ。

「ほんと!?やった!!ありがと!梓馬大好きっ!!」

…本当に。これがなければ俺は落ちたりしないのに。

苦笑しながら、学生2人で紐のくじに挑戦する。

…結果。

「うあああーーー外れたーーっ」
外れくじに頭を抱える和樹は、それはそれで可愛い。

けれど。
歩きながらしょぼくれる和樹をつつく。

「………和樹、……和樹?…………いらないのか。」

あまりに落ち込んでいて聞こえていないのか。それならと、声を低くして耳元で甘く囁いた。

びくんと跳ねる躯。
ああ、可愛い。

縦縞の白い浴衣、健康的なうなじ。

後から覚悟するんだよ?

微笑を浮かべながら、俺は和樹に、トランペット型のオモチャを渡した。

ひまわりが咲くように輝く顔。

「あずっ…、……とってくれたの!?……ありがとーーーーっ!!!!」

人前だというのに。浴衣でもお構いなしに、飛び付かれた。

「和…!?」

…ああ、もう仕方がない。

まさかそこまで喜んでくれるとは。

「梓馬〜〜!!ありがとう〜大好き〜!!」

抱き付く可愛い可愛いお前。

勝手に胸が熱くなる。

「どういたしまして。」

本当にお前は予想外のことをする。
お前の笑顔のためなら、俺はどんな事だって…

してしまうな、…この俺が…。

敵わない…。


器用にトランペットの音を変えて鳴らすお前。
オモチャもお前の手にかかれば、一流の楽器。

お気に入りのラーメンの屋台の曲を、何度も繰り返して。

来年もまた…

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お前が笑っているなら、俺はそれで十分だよ。

 2008-07-01
コス写真紹介〜の前に、腐っても字絵かきなので。

初の火原サイドの柚火小説です。
これでコス部屋ができるまで想像していただくといいかと。
会場でのうちらはこんなでした。(笑)

惺ちゃんにチェックも受けながら(笑)火原サイド初投稿です!

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白い羽と黒い羽〜アダージョ〜

 2008-06-19

一日遅れのお誕生日SSです!柚木様おめでとうvv

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櫻花爛漫・希〜のぞみ〜

 2008-04-22

ひとひらひとひら
甘い香の中舞う花よ

柔らかな薄桃色の
長い長い歴史を知る花よ

あいつと会ったのも櫻の下

花びら降る
その場所で


どうして僕らは出逢ったの?
それはきっと絶対的な何か



「柚木、花びら手でキャッチしてみない?」
「花びら…をキャッチするの?」
「うん!捕まえられたら何か良いこと起こりそうでしょ?」

今より跳ね回る無邪気なあいつ、
今より髪の短いあの頃の俺。

「いいよ。競争だね。」

笑顔で笑った俺は、本当の笑顔なんて忘れていた。

良いことなんて起こるわけがない。
いつだって願えば奪われていく。

当たり前のレール
間違いのないゴール

変わらない
変えられない

すべては一つのもののためで、
俺も一つの駒にすぎない。

それでも叶うとお前は信じて
手を…伸ばすのか。




…叶うものか。

ただの願掛けに
熱くなる心は持たない

簡単に捕えられるだろうと伸ばした手

…こういうものは動かない方が向こうから寄ってくるものだ。


ふわりふわり

ほら、捕まえた、…



開けばそこに


薄桃色は無かった。




櫻は感じたかのように
僕を避けていたんだ。






今なら、

お前に会って少しだけ
お前の強さを分けてもらえた俺なら、

捕まるだろうか。

…願ってみてもいいだろうか。


見事なまでに踊り散る
花吹雪に魅せられて

見上げた俺は
手を伸ばす。

恐いほど美しい
一本の大木。

願うなら
俺にも変えられる未来を

願うなら
何にも代え難いお前を


掴みたい。

この手で…


次から次から降ってくるとめどない花の雫

ふわり

手の中に入る。

掌を握りしめ
そっと開くと



桃色のそれは
跡形もなかった




あぁ。


叶えてはくれないのか。
やはり俺では駄目なのか。


未来を夢見たいと思った今なら

捕まってくれる気がしたのに


俺の手には
何もなくて。


ツキンと心が痛んだ。


痛みを感じなかったあの頃とは違う

鈍っていた感覚を呼び覚ましたのはアイツだった

痛い
苦しい

俺は見放されているのか

悲しくて
手を握りしめた…


「柚木!…っと、捕まえた!」

後ろから声
振り向けばお前

まさか
どうして
このタイミングで

お前というやつは
にっこりと笑うんだ


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好きの境界線(柚火)

 2008-01-06
知らなかったんだ。親友だと思ってて、――思いこんでて、俺は柚木の気持ちなんてわかろうとしてなかった。

柚木の告白にただただびっくりして、柚木もこんな風に怒るんだとか考えてて、俺、自分の感想が勝手に飛び出して来ちゃって。

「なに言ってるの、柚木。…俺達男同士だよ…?」

そんなこと考えたこともなくて、世界にはそんな人たちもいるって聞いたこともあったけど、そんなこと言われたのなんか初めてで、信じられなくて、――冗談かなって思っちゃってそう言った。
あ、俺そういえば初めて告白されたんだ。

なのに俺…

柚木を傷つけた。

俺の言ったことのせいで、俺が柚木の気持ち信じてちゃんと受け止められなかったせいで、柚木はすっごい痛そうな顔をした。

ごめんね、柚木。
ごめん
ごめん

そんな風に傷つけたかったんじゃない。

せっかく柚木が正直に気持ちを打ち明けてくれたのに…

走って屋上のほうに行ってしまった柚木の足音を聞きながら、俺は胸がキリキリきゅうきゅう痛かった。

友達だと思ってた。でも柚木は違ったんだ。

俺を見てた柚木の瞳は、俺が思っていたよりもずっと俺を好きだったってことだよね?

俺はやっぱり柚木がすっごく好きだよ。でもそれは柚木の言う好きと同じなのか、違うのかわからない。

柚木と友達でいられなくなっちゃうのかな。それはもうそばで今まで通り笑っていられなくなっちゃうってことだよね。

それは嫌だな。

柚木の言う恋人ならそばにいられるかな、…でも、いい加減な気持ちだったらまた柚木を傷つけるよね…。

俺の柚木への好きは…

なんなんだろう。

好きってどこから恋なんだろう。

わかんないや…。


頭を抱えて廊下にしゃがんでいたら、聞いたことある声が降ってきた。

見上げれば、後輩の土浦だった。いつもよりでっかく見えるのは今の俺が涙でボロボロだから?

「つちうら〜ぁ…」
「ちょっ、先輩?!どうしたんすか…!?」

年下のくせに俺よりがっちりした土浦に抱きついて泣きじゃくった。

「ねえ、好きってどこから好きなの?俺もうよくわかんない…。でも離れて行かれるのは嫌だ…友達じゃ駄目なのかなぁ…」

そう言ったら土浦は子供を慰めるみたいに、俺の頭を撫でて、背中を軽く叩いてくれた。

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